低出生体重児に対するポジショニングの影響について
低出生体重児は, 筋緊張や筋繊維が未熟な状態で出生し重力や処置等により肢位性変形を起こしやすい. これに対して我々は, クベース内からポジショニングを行う場合が多い. しかし, ポジショニングによる効果に関しては長期的な影響の報告はあるが, 短期的な影響の報告は少ない. 今回, 我々は, 普段行っているポジショニングが, 行動に対しどの様な影響があるかを検討してみた. 【対象】極低出生体重児3名(男2名, 女1名)平均出生時体重933.3±265.5g(678~1208), 平均在胎週数28.4±2.5週(25週4日~30週3日)を対象とした. 評価時在胎週数36.4±2.6週(33週5日~4...
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Veröffentlicht in: | 理学療法学 2000, Vol.27 (suppl-2), p.44-44 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 低出生体重児は, 筋緊張や筋繊維が未熟な状態で出生し重力や処置等により肢位性変形を起こしやすい. これに対して我々は, クベース内からポジショニングを行う場合が多い. しかし, ポジショニングによる効果に関しては長期的な影響の報告はあるが, 短期的な影響の報告は少ない. 今回, 我々は, 普段行っているポジショニングが, 行動に対しどの様な影響があるかを検討してみた. 【対象】極低出生体重児3名(男2名, 女1名)平均出生時体重933.3±265.5g(678~1208), 平均在胎週数28.4±2.5週(25週4日~30週3日)を対象とした. 評価時在胎週数36.4±2.6週(33週5日~40週), 評価時平均体重1266.5±136.6g(1100~1398)であった. 【方法】授乳1時間後, クベース内背臥位姿勢でポジショニング前, ポジショニング直後, 10分後の自発運動をビデオにて各10分間撮影し児の生理学的変化(脈拍, 呼吸数, 覚醒レベル)・行動学的変化(上肢の運動頻度と身体接触方向の動きの頻度)を比較検討した. 【結果】 1)症例1:ポジショニングにより覚醒レベルが浅い眠りから敏活な状態に変化. 生理学的面でも脈拍数・呼吸数とも変化は少ない. 行動面は, 運動頻度は減少したが逆に接触系の動きの増加がみられた. 2)症例2:ポジショニングにより覚醒レベルが, 敏活から浅い眠りから泣いた状態の間を変化し不安定な状態になった. この為, 生理学的面で脈拍が増加し, 行動面でも上肢の運動頻度が著しい増加を示した. しかし, 接触系の運動の頻度は減少した. 3)症例3:ポジショニング前, 覚醒レベルはうとうとした状態から泣いた状態を変化していたが, ポジショニング後は徐々に安定し10分後には浅い眠りの状態へと変化した. 生理学的面は覚醒レベルの変化とともに脈拍は減少した. 行動面でも運動の頻度は減少を示した. 【考察】以前, 極低出生体重児と成熟児の出生日前後(極低出生体重児では予定日前後)の行動の比較を行った際, 運動時の筋緊張のバランス, 手を口に持っていく能力が成熟児に比べて低いという結果を得た. この理由としては, 身体的未熟性と環境の影響と考えた. これに対して, ポジショニングで姿勢を安定させることで筋緊張のバランスを整え, 身体に接触する動き(接触系の動き)を増やせないかと考え対応してきた. 今回の結果では, 3症例中2例は, 生理学的面は安定し, うち1例は行動面で接触系の運動の増加がみられた. しかし, 他の1例は, 上肢の運動が極端に増加を示したが接触系の運動は逆に減少した. この症例について再検討したところ, ポジショニング後, 上下肢の抗重力方向の運動が増加し, 運動休止時に, 支持面に上下肢が接地しリラックスすることなしに, 抗重力方向の運動を繰り返していた. この為, 安定安心できず乱雑な運動が増加したと考えた. このことより, ポジショニングは児の状態を把握し個々にあわせて介入すべきであることが確認された. |
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ISSN: | 0289-3770 |