SHBの違いが脳卒中片麻痺患者の歩容に与える影響
脳卒中片麻痺患者の歩行能力改善に対して, 装具は日常的によく用いられる. しかし, 様々な研究で材質, トリミング等の重要性が述べられているにも関わらず, 画一化された装具の作製にとどまっているケースが多いと思われる. 今回1症例を通し, 材質・背屈角度の異なる4種類の靴べら式短下肢装具(SHB)において, 体幹も含めた歩容の比較を行った. 結果に, 若干の考察を加え報告する. 【症例と方法】症例は, 本研究の主旨に賛同した79歳の女性, 平成11年6月24日脳梗塞右片麻痺にて発症, 片麻痺機能回復段階は下肢IV-1, 歩行は四脚杖・SHB使用にて近位監視レベル. 裸足歩行における歩容の特徴は...
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Veröffentlicht in: | 理学療法学 2000, Vol.27 (suppl-2), p.30-30 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 脳卒中片麻痺患者の歩行能力改善に対して, 装具は日常的によく用いられる. しかし, 様々な研究で材質, トリミング等の重要性が述べられているにも関わらず, 画一化された装具の作製にとどまっているケースが多いと思われる. 今回1症例を通し, 材質・背屈角度の異なる4種類の靴べら式短下肢装具(SHB)において, 体幹も含めた歩容の比較を行った. 結果に, 若干の考察を加え報告する. 【症例と方法】症例は, 本研究の主旨に賛同した79歳の女性, 平成11年6月24日脳梗塞右片麻痺にて発症, 片麻痺機能回復段階は下肢IV-1, 歩行は四脚杖・SHB使用にて近位監視レベル. 裸足歩行における歩容の特徴は, 常時麻痺側肩甲帯・骨盤帯後退, 立脚初期につま先接地, 立脚中期に膝関節伸展位で骨盤後退に伴い体幹前傾みられ, 遊脚期は股関節屈曲・足部内反尖足著明であった. 本症例に対し, 4種類のSHB((1)オルソレン背屈0度, (2)オルソレン背屈5度, (3)ポリプロピレン背屈0度, (4)ポリプロピレン背屈5度)をそれぞれ装着し, 5m直線路を歩行させた. DKH社製3次元動作解析システムのFrame-DIASを用い, カメラ2台により歩行側面像の3次元解析を行った, 動作解析用の反射マーカーを, 右側肩峰, 大転子, 膝関節裂隙, 外果, 踵外側, 第5中足骨頭にそれぞれ貼付した. また, 本人の主観として, 最も良好であったものを答えてもらった. 【結果と考察】装具の違いによる歩容の大きな相違点は, 立脚中期の膝関節屈曲角度・体幹前傾角度, 立脚後期の膝関節屈曲角度・足関節背屈角度であった, 正常歩行では, 立脚中期に膝関節軽度屈曲位となる. (2)(4)では軽度膝関節屈曲位となったが, (1)(3)では伸展位となり, 前方への重心移動を阻害していると考えられた. また, それに伴い体幹の前傾角度が, (1)(3)にて増大する傾向が見られた. これは背屈0度の装具により, 膝関節伸展方向の矯正モーメントが生じ, 骨盤後退が著明となり, バランスを保つために体幹前傾を強めているものと思われた. 次に, 本人の主観が最も良好であったものは(2)であった. また, 立脚後期の膝関節屈曲, 足関節背屈も(2)のみ増大する傾向にあった. 正常歩行では立脚後期に足関節背屈が生じ, 遊脚期への移行として膝関節が屈曲位となるが, ポリプロピレンでは足関節背屈方向の可動性が得られない. 本症例では, (2)が立脚中期からの重心移動をスムーズにし, 立脚後期の足関節背屈, 膝関節屈曲を可能にしたと考える. 今回の研究は1症例のみであったため, この結果が普遍的なものではないが, 装具による体幹を含めた歩容への影響が示唆された. 今後, 症例数を増やし, 症状と装具の適応について検討していきたし. |
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ISSN: | 0289-3770 |