脳卒中片麻痺患者の片脚立位時間と歩行自立度

【目的】歩行自立度の簡便な評価としては, 歩行動作の観察をもとにした判断によることが多かった. しかし, 監視の必要性の有無の判断については監察による判断のみでは十分でないことを経験する. 今回当院における歩行可能な片麻痺患者の自立度, とくに監視の必要性の有無を決定するための定量的な指標を検討するにあたり, 片脚立位保持能力と歩行能力および歩行自立度との関係を検討し, 歩行自立度の判断基準の1つとなりうるか検討した. 【対象】当院入院および外来通院中の脳卒中片麻痺患者26例(疾患:脳梗塞15例脳出血11例障害側:右13例, 左13例性別:男性14例女性12例, 平均年齢62.7±8.7歳)で...

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Veröffentlicht in:理学療法学 2000, Vol.27 (suppl-2), p.29-29
Hauptverfasser: 高杉栄, 久保晃, 潮見泰蔵, 峯岸忍, 指方梢, 丸一静, 百瀬さやか, 早乙女昌代
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】歩行自立度の簡便な評価としては, 歩行動作の観察をもとにした判断によることが多かった. しかし, 監視の必要性の有無の判断については監察による判断のみでは十分でないことを経験する. 今回当院における歩行可能な片麻痺患者の自立度, とくに監視の必要性の有無を決定するための定量的な指標を検討するにあたり, 片脚立位保持能力と歩行能力および歩行自立度との関係を検討し, 歩行自立度の判断基準の1つとなりうるか検討した. 【対象】当院入院および外来通院中の脳卒中片麻痺患者26例(疾患:脳梗塞15例脳出血11例障害側:右13例, 左13例性別:男性14例女性12例, 平均年齢62.7±8.7歳)であった. 【方法】片脚立位保持時間は平行棒内にて両側ともに十分に練習した後, 保持時間を計測し最も長時間保持できたものとした. 歩行は5m間隔で目印をつけてある廊下直線路を一定の快適な速度で歩行させ10m歩行に要する時間を10回計測した. 10m歩行時間の平均(以下Mean)と標準偏差(以下SD)よりCV%=SD/Mean*100を算出した. また歩行耐久性の評価として6分間歩行距離を計測した. そしてこれらの値を監視歩行群と自立歩行群で比較した. 各群間の比較には平均値の差の検定を行い, 有意水準は5%未満とした. 【結果】片脚立位時間では健側下肢で監視群10.1±8.3秒, 自立群19.8±11.1秒, また患側下肢で監視群0.3±0.6秒, 自立群で5.1±8.1秒となり2群間で有意な差が認められた. CVでは監視群5.6±1.7%, 自立群3.6±1.0%と有意な差が認められ, 6分間歩行距離においても有意差が認められた. 【考察】歩行可能な患者において日常での監視の必要性の有無の判断はPTにとって重要な課題でありまた動作観察のみによる判断では困難な場合が多い. 今回, CVおよび6分間歩行距離において監視歩行群と自立歩行群との間に有意な差が認められ, 同様に片脚立位保持時間についても有意な差が認められた. このことから片脚立位保持能力は歩行能力に影響を与える要因の1つであり歩行安定性を示す歩行時間変動計数(CV)や歩行速度とともに歩行自立度の指標の1つとなる可能性が示唆された.
ISSN:0289-3770