短下肢装具装着歩行における歩行周期とエネルギー効率の関係
【目的】健常者が短下肢装具を装着して歩行すると通常の靴による歩行時よりもエネルギー効率が低下するという報告がすでになされている. 従って装具装着時の歩行は身体機能が正常であっても正常歩行とは異なると考えられる. しかし臨床的な装具装着歩行訓練で目標とすべき歩行パターンはこれまでに検討されておらず, 正常歩行パターンを参照基準としているのが現状である. そこで本研究では健常者の装具装着時の歩行パターンをエネルギー効率と関連付けて評価することを試みた. さらにエネルギー効率から見て「良い」と評価された歩行パターンを健常者に学習させ, エネルギー効率の改善がはかれるかどうかを検討した. 【実験1】方...
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Veröffentlicht in: | 理学療法学 2000, Vol.27 (suppl-2), p.7-7 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【目的】健常者が短下肢装具を装着して歩行すると通常の靴による歩行時よりもエネルギー効率が低下するという報告がすでになされている. 従って装具装着時の歩行は身体機能が正常であっても正常歩行とは異なると考えられる. しかし臨床的な装具装着歩行訓練で目標とすべき歩行パターンはこれまでに検討されておらず, 正常歩行パターンを参照基準としているのが現状である. そこで本研究では健常者の装具装着時の歩行パターンをエネルギー効率と関連付けて評価することを試みた. さらにエネルギー効率から見て「良い」と評価された歩行パターンを健常者に学習させ, エネルギー効率の改善がはかれるかどうかを検討した. 【実験1】方法:健常な女子大学生20名を対象に通常の靴および左側のみ金属支柱付短下肢装具(SLB)装着時のPhysiological Cost Index(PCI)を測定した. 歩行はトレッドミル上で3kmの速度で行った. また, 踵部フットスイッチおよび下腿遠位部に添付した加速度計により歩行周期各フェイズの時間を測定した. 結果:通常の靴による歩行時のPCIに対するSLB装着時のPCIの変化率から被験者を次の3群に分けた;I群(SLB装着によりPCIが低下する群;7名), II群(通常の靴とSLBでPCIに変化がない群;6名), III群(SLB装着によりPCIが上昇する群:7名). 各群のSLB装着歩行の歩行周期を比較したところ, 1歩行周期全体の時間及び遊脚期全体の時間がI群でII, III群に比し有意に長かった(歩行周期・遊脚期の順に, I群では1.33s・0.52s, II, III群では1.18~1.23s・0.44~0.46s). 【実験2】方法:実験1でII群およびIII群に分類された被験者の中から8名を選び, 4名を学習群, 残り4名を対照群とした.学習群にはブザー音で歩行周期を指示するフィードバック装置を用いて1日1回(3km/hで3分間)×2日間の歩行訓練を行った. 学習させる歩行周期は実験1の結果に基づき歩行周期時間1.33s, 遊脚期時間0.52sとした. 第2訓練日は第1訓練日の3日後とし, さらに第2訓練日から5日後にフィードバックを与えずに同条件で歩行させ学習効果を測定した. 対照群では実験群と同じ日程で測定を行ったが, 歩行に際し特別な指示, フィードバックは与えなかった. 結果:学習群では実験2における第3実験日の歩行は実験1のSLB装着歩行に比べ歩行周期時間, 立脚期時間, 遊脚期時間が有意に長くなっていたが, 対照群ではいづれにも変化はなかった. またPCIは対照群に比し学習群で有意に低下した. 【考察】本実験結果よりエネルギー効率から見てSLB装着時に有利となる歩行周期の取り方が存在すると考えられる. また, 通常は被験者が無意識に選択している歩行率で歩いたときに最もエネルギー効率が良いとされているが, 装具装着歩行では有利な歩行周期を学習させることによりエネルギー効率を高めることができると考えられる. |
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ISSN: | 0289-3770 |