北海道士会における臨床実習指導の実態と問題点
【はじめに】規制緩和の影響もあってか, 養成校数は近年も微増を続けている. しかし, それに伴って教員の確保はもとより, 学生の臨床実習地確保が大きな問題となっている. 北海道においても例外では無く, 1997年10月時点でPTの勤務する医療機関数が200ヵ所(内複数職場125ヵ所)に対して道内6養成校の臨床実習医療機関は86ヵ所にしかすぎない. そこで, 学術局は調査部と合同で臨床実習指導の実態とニーズを把握し, 臨床実習指導者に対してどのような企画が必要であるかを調査する目的でアンケートを実施した. 【対象および方法】1997年10月時点の士会員勤務施設のうち道内6養成校の臨床実習先となっ...
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Veröffentlicht in: | 理学療法学 1999, Vol.26 (suppl-1), p.122-122 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】規制緩和の影響もあってか, 養成校数は近年も微増を続けている. しかし, それに伴って教員の確保はもとより, 学生の臨床実習地確保が大きな問題となっている. 北海道においても例外では無く, 1997年10月時点でPTの勤務する医療機関数が200ヵ所(内複数職場125ヵ所)に対して道内6養成校の臨床実習医療機関は86ヵ所にしかすぎない. そこで, 学術局は調査部と合同で臨床実習指導の実態とニーズを把握し, 臨床実習指導者に対してどのような企画が必要であるかを調査する目的でアンケートを実施した. 【対象および方法】1997年10月時点の士会員勤務施設のうち道内6養成校の臨床実習先となっている86医療機関・342名を調査対象とした. 調査方法は郵送による紙面アンケート調査法にて施設用と個人用の2種類で行った. 【結果および考察】アンケート回収率は施設用69施設80.2%, 個人用277名81.0%であった. 理学療法士数は平均4.3名であり, そのうち臨床経験3年以上の者が平均3.3名であった. また, 1日平均実施患者数は21.8名であった. また, 一人の学生に関わる個別指導時間が3.1~3.5時間で, うち時間外指導が0.5~1.3時間であった. 同時受け入れ可能学生数は見学実習が平均約3名, 評価・総合臨床実習が平均約2名弱という結果であった. これらの結果から, 実習指導者不足のために受け入れ側も困難を強いられている節が伺えた. また, 道内6養成校の定員200名と道外養成校からの要請を併せて考えると, 100施設以上の実習先が必要であるのに対し, 先に述べたように1997年の実習先は道内では86施設しか無く, 総合臨床実習は計算上26名の学生が実習を受けれない状況にあり, まずは量的確保が大前提であるという結果になった. 次いで個人用調査の結果であるが, 平均年齢31.3歳, 平均臨床経験8.5年であった. また, 207名74.7%の者が何らかの実習指導経験を有していた. 自己の指導内容に対する満足度であるが, 指導経験者のうちの93.4%の者が何らかの不満を感じていた. 不満の内容としては, 指導力不定, 指導時間不足などが上位を占めた. 何を学生に伝えるべきかと言う設問に対しては, 患者との接し方, 医療従事者としての自覚などが上位を占め, 指導者に求められる事としては, 指導教育力, 豊かな臨床経験, 幅広い医学知識と続いた. 以上の結果より, 忙しい業務の中で苦労しながらも手技・技術よりも医療従事者としての基本的な態度や指導に重点が置かれており, そのための指導教育力や臨床経験を欲している姿が浮き彫りにされた. 最後に, 学術局に望む臨床実習指導に関する企画では, 学生指導プログラムに関するもの, 教育に関するものが7割以上を占め, 次いで人間関係に関するものであった. しかしながら, 教育・人間関係に関するニーズが高い割には昨年・一昨年と企画したスーパーバイザー研修会の参加者は延べ60名にも満たない現状であり, 教育に対する自己研鑽が諸条件により困難なものが14%に満たないという結果とのギャップもあり, 今後のあり方を再検討する必要を感じた. |
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ISSN: | 0289-3770 |