脳血管障害患者の自立歩行許可に関する意識調査

【はじめに】脳血管障害患者が, その治療, 療養の過程で, 院内・施設内自立歩行を許可される際, 理学療法士(以下PT)の判断が患者のADLに与える影響は大きいのは言うまでもない. しかし, 脳血管障害患者においては障害が多岐にわたるため具体的な判断基準などについては臨床場面で見られないのが現状ではないだろうか. そこで今回は脳血管障害患者の自立歩行の許可に関して, PTの関わり, 判断の基準, 実際の歩行自立の許可はどのように行われているのか等, 歩行自立許可の現状を調査し明らかにすることを目的とした. 【対象と方法】平成10年7月現在, 脳血管障害患者が入院・入所していると思われる道内の病...

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Veröffentlicht in:理学療法学 1999, Vol.26 (suppl-1), p.116-116
Hauptverfasser: 杉原俊一, 藁谷季恵, 橘田将一, 石橋晃仁, 千葉絵里子, 五十川純矢, 吉尾雅春, 赤羽根誠, 岡田しげひこ
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【はじめに】脳血管障害患者が, その治療, 療養の過程で, 院内・施設内自立歩行を許可される際, 理学療法士(以下PT)の判断が患者のADLに与える影響は大きいのは言うまでもない. しかし, 脳血管障害患者においては障害が多岐にわたるため具体的な判断基準などについては臨床場面で見られないのが現状ではないだろうか. そこで今回は脳血管障害患者の自立歩行の許可に関して, PTの関わり, 判断の基準, 実際の歩行自立の許可はどのように行われているのか等, 歩行自立許可の現状を調査し明らかにすることを目的とした. 【対象と方法】平成10年7月現在, 脳血管障害患者が入院・入所していると思われる道内の病院・施設のPT529名にアンケート発送, 回収は310通で回収率は58.6%であった. 今回の調査では主な対象疾患が脳血管障害である136名した. 方法は郵送質問紙法によるアンケート調査で, 実施期間は平成10年7月9日から7月25日であった. 質問項目は一般情報として性別, 年齢, 経験年数, 主な対象疾患, 勤務施設概要の他, 自立歩行許可に対して自分なりの判断をしているか, テストバッテリーを何か持っているのか, 歩行許可に至る流れは実際どのように行われているのか等とし, その他一般情報との関連についても検討した. 【結果】自立歩行許可に対し自分なりの判断をしていると答えたものは97.1%, していないものは2.9%, 判断するためのテストバッテリーを持っているものは20.5%, 持っていないもの79.5%であった. 臨床場面で歩行を許可する流れについては, PTは許可に対して主体的にと答えたものは88.2%, 受け身的と答えたものは11.8%, 自立歩行許可の決定はカンファレンスにかかると答えたものは10.9%, カンファレンスにかからないと答えたもの89.1%, 歩行許可の最終決定は医師が行うが23.7%, 医師以外のスタッフが行うが76.3%であった. テストバッテリーの有無で平均経験年数を比較すると(+)群で7.8±5.7年, (-)群で8.3±7.8年で有意差は見られなかった. また自立歩行を許可する流れにおいて平均在院日数, 病棟基準との関連については統計学的な偏りは見られなかった. 【考察】臨床場面の歩行自立許可においては特にカンファレンスにかからず, 医師以外のスタッフにより最終決定がなされており, また約90%のPTが積極的に判断し, 医師や看護婦に積極的に打診していた. PTは歩行自立許可に関して重大な役割があることは再確認できたが, その判断については主観的な自己の臨床経験で判断している傾向があり, 経験年数によるものではないと考えられた.
ISSN:0289-3770