デイケアにおける血圧変動

機能回復訓練室等で理学療法を施行する際, 訓練前の患者の血圧は, 訓練初日に高い値を示す傾向があるという報告がある. デイケア通院患者は入院患者と異なり, デイケア時間以外は在宅での健康管理が主体となるため, リスク管理を施行するうえで血圧の変動を検討することの意義は大きいと考えられる. そこで今回, 機能回復訓練室とはやや環境の違う, デイケア室においてもこのような傾向がみられるか, 利用者の血圧を初日から4日目まで測定し, 検討を行った. 当医院デイケアの利用者13名(男性2名, 女性11名)に対し, デイケア室でのグループワーク開始の初日より4日目までの間, デイケア室入室後の血圧を測定...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:理学療法学 1999, Vol.26 (suppl-1), p.110-110
Hauptverfasser: 窪川紀子, 江口称子, 上田明彦, 遠山美津子, 富川久美, 白瀧美由起, 八木沢美由起, 窪川 徹, 久保 晃, 丸山仁司
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:機能回復訓練室等で理学療法を施行する際, 訓練前の患者の血圧は, 訓練初日に高い値を示す傾向があるという報告がある. デイケア通院患者は入院患者と異なり, デイケア時間以外は在宅での健康管理が主体となるため, リスク管理を施行するうえで血圧の変動を検討することの意義は大きいと考えられる. そこで今回, 機能回復訓練室とはやや環境の違う, デイケア室においてもこのような傾向がみられるか, 利用者の血圧を初日から4日目まで測定し, 検討を行った. 当医院デイケアの利用者13名(男性2名, 女性11名)に対し, デイケア室でのグループワーク開始の初日より4日目までの間, デイケア室入室後の血圧を測定した. 平均年齢は80.7±6.3歳, 男性2名, 女性11名で主たる疾患は脳血管障害, 変形性関節症, 糖尿病, 高血圧, 骨粗鬆症であった. 血圧計はスタンド式水銀血圧計を用い, 毎回同じ血圧計を使用した. 測定は理学療法士又は看護婦が担当し, 各患者に対し同一の体位, 同側の上腕で測定した. デイケア室にてグループワークを実施する以前にオリエンテーションを十分行い血圧を測定し, 血圧変動を起こさないように配慮した. 統計は反復測定の分散分析を用い5%未満を有意差ありとした. デイケア初日から4日目までの収縮期血圧, 拡張期血圧, 平均血圧の平均値は, それぞれ, 初日(157±24, 80±9, 105±12mmHg), 2日目(146±28, 77±11, 100±15mmHg), 3日目(141±22, 77±12, 99±13mmHg), 4日目(148±19, 79±9, 102±11mmHg)であり, 分散分析の結果, 収縮期血圧に有意な差が認められた. (p<0.05) デイケア利用者の血圧は, デイケア利用の初日に高い値を示す現象がみられた. 一般的に自衣高血圧と呼ばれる測定者の白衣の影響も考えられるが, 毎回同条件なので, 白衣の影響のみとは考え難い. 血圧を測定する以前にオリエンテーションを施行しているにも関わらずこのような現象がおきる要因としては, 初日であることの不安や緊張といった精神的なストレスが考えられる. このことはデイケアにおける, 初日の活動内容を考慮することやリスク管理の面からも重要であり, 血圧測定の重要性が改めて示唆された. またこのようなことも踏まえ, 当院では患者本人や家族に, 健康に対する意識を高めてもらうため, デイケアで測定した血圧の値を患者本人にノートに記入させ, 記入したノートを持ち帰ってもらい患者家族にも健康状態を把握できるように努めている.
ISSN:0289-3770