立位股関節外転運動時における両側外転筋筋活動

【はじめに】股関節外転筋のOpen Kinetic Chain(以下, CKC)Exerciseは広く紹介されている. 実際, 股関節外転筋はClosed Kinetic Chain(以下, CKC)での収縮様式が片脚立位や歩行機能に多く関与していると言われている. しかし, CKC Exerciseを著した文献は少ないように思える. 今回, 股関節外転筋のCKC Exercise作成の糸口になればと, 立位での股関節外転運動時における両側外転筋筋活動を調べたので報告する. 【方法】対象は健常男性5名9肢(平均年齢30.2±4.3歳), 方法は表面皿電極を左右中殿筋(腸骨稜~大転子の中点)に貼...

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Veröffentlicht in:理学療法学 1999, Vol.26 (suppl-1), p.66-66
Hauptverfasser: 橋場貴史, 加藤謙一, 神谷正弘, 宮本隆志, 平木清喜, 古矢泰子, 荒木 茂, 谷口尚美
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:【はじめに】股関節外転筋のOpen Kinetic Chain(以下, CKC)Exerciseは広く紹介されている. 実際, 股関節外転筋はClosed Kinetic Chain(以下, CKC)での収縮様式が片脚立位や歩行機能に多く関与していると言われている. しかし, CKC Exerciseを著した文献は少ないように思える. 今回, 股関節外転筋のCKC Exercise作成の糸口になればと, 立位での股関節外転運動時における両側外転筋筋活動を調べたので報告する. 【方法】対象は健常男性5名9肢(平均年齢30.2±4.3歳), 方法は表面皿電極を左右中殿筋(腸骨稜~大転子の中点)に貼付した. 貼付した状態で立位股関節等尺性外転運動10, 20, 30度を杖使用, 杖無し各3秒間保持させた. 杖は高さを大転子に合わせた四点杖を非外転肢の側方に置いた. 解析はNECメディカル社製シグナルプロセッサDP1100A, 解析ソフトはNECメディカルシステムズ社製筋電図動作解析OSK137Sを用いた. データ処理は外転肢(以下, ABD), 非外転肢(以下, NABD)の股関節外転筋の積分値を最大随意性収縮(以下, MVC)のもので除し, 各角度間, ABD・NABD間, 杖の有無で比較を行った. 各々の比較は, t-testを用い, 有意水準を5%とした. 【結果】杖無し群:10度ABD 10.4±6.3, NABD 9.7±7.5, 20度ABD 17.4±5.0, NABD 18.1±8.2, 30度ABD 15.5±8.2, NABD 16.5±12.0, 杖使用群:10度ABD 16.3±5.5, NABD 19.1±7.1, 20度ABD 18.1±6.1, NABD 20.4±7.8, 30度ABD 26.3±10.6, NABD 26.3±13.1(%) 杖無し群の10・30度間ではABD, NABD共に30度が有意に高値を示した. ABD・NABD間では, 杖使用群, 無し群共に10, 30度で有意に非外転肢が高値を示した. 杖使用群で筋活動量が高値傾向を示したが, 杖使用群と非使用群での筋活動量有意な差はなかった. 全ての筋活動量においてはMVCの30%以下であった. 【考察】今回の結果から, ABDよりNABDで同等以上の筋活動量を示した. また, 股関節外転角度が増加すると10度と30度間では, NABDはABDより約1.5倍の筋活動量が得られた. このことより立位での股関節外転運動では, NABDの外転筋筋活動がABDより大きくなる傾向が認められた. 田篭らはOKCとCKCの股関節外転筋収縮は異なるとしており, OKCのみでの評価がTrendelenburg徴候などの跛行を出現させる外転筋の機能低下の評価とは結びつきにくいとしている. 我々も, CKCでの機能低下に対して, 同様の収縮様式を用いた評価, Exerciseが必要であると考える. 今後, 今回の結果を基に健常者と変形性股関節症患者との運動における筋活動量の比較及び負荷量の設定を行い, 股関節外転筋の体系化されたCKC Exerciseを作成していきたいと考える.
ISSN:0289-3770