重量物の挙上動作における腰椎および骨盤の動作解析

【はじめに】 重量物の挙上動作における腰椎・骨盤の動きに着目すると, 腰椎の屈曲-伸展・側屈および骨盤の前傾-後傾・回旋・挙上などの複合的な動きにより行われている. 体幹を前・後屈させる際には腰椎と骨盤は協調的な動きをしており, 腰椎が屈曲-伸展に伴い骨盤の前傾-後傾が起こるといわれている. 重量物の挙上動作に関しては二次元的な報告が多く, さらに腰椎と骨盤の関連について明らかに示した報告は少ない. そこで, 重量物の挙上動作における, 腰椎・骨盤の関連について知る目的で腰椎・骨盤の三次元的な角度変化について検討した. 【対象】 健常男性11名とした. 平均年齢22.2歳, 平均身長171.5...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:理学療法学 1999, Vol.26 (suppl-1), p.45-45
Hauptverfasser: 田中深雪, 下野俊哉, 古川公宣, 馬上直子, 豊田愼一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:【はじめに】 重量物の挙上動作における腰椎・骨盤の動きに着目すると, 腰椎の屈曲-伸展・側屈および骨盤の前傾-後傾・回旋・挙上などの複合的な動きにより行われている. 体幹を前・後屈させる際には腰椎と骨盤は協調的な動きをしており, 腰椎が屈曲-伸展に伴い骨盤の前傾-後傾が起こるといわれている. 重量物の挙上動作に関しては二次元的な報告が多く, さらに腰椎と骨盤の関連について明らかに示した報告は少ない. そこで, 重量物の挙上動作における, 腰椎・骨盤の関連について知る目的で腰椎・骨盤の三次元的な角度変化について検討した. 【対象】 健常男性11名とした. 平均年齢22.2歳, 平均身長171.5cm, 平均体重66.8kgであった. 【方法】 重量物(20Kg)を前方床面に置き, 両上肢にて重量物を保持し挙上させる動作及び右側方に同重量物を置き右側上肢にて重量物を保持し挙上させる動作を行った. 更にそれぞれの動作を重量物を保持せず行った. 一連の動作において肘関節・膝関節は伸展位とし両脚を肩幅に開いた位置に固定し, 各々の動作における腰椎屈曲-伸展・回旋・側屈及び骨盤前傾-後傾・回旋・挙上の角度変化をZebris社製WinSpineにて三次元的に計測した. 得られたデータより動作開始から終了までの時間を100%とし, 0%(動作開始時)・25%・50%・75%・100%(動作終了時)における平均角度を算出した. 【結果】 両上肢保持にて重量物を挙上させたとき, 矢状面における腰椎伸展と骨盤後傾の関連を見ると動作開始初期より骨盤の後傾が始まり, その直後腰椎の伸展方向への動きが始まる. その動きは動作開始時より75%の時点でほとんど終了した. 一方, 水平面・前額面での明らかな変化は認められなかった. 右側上肢保持にて重量物を挙上させたとき, 矢状面における動きは両上肢保持にて重量物を挙上させたときと同じく, 骨盤の後傾の動きが先行しその後腰椎の伸展が始まる. 更に腰椎・骨盤の動きは直線的に変化し75%の時点でほぼ終了した. 水平面における腰椎回旋および骨盤回旋については腰椎の回旋運動が始まり, その後骨盤の回旋運動がみられ, ほとんどの運動は75%の時点で終了する傾向があった, 他の運動は75%の時点でほぼ運動が終了するが, 前額面上における骨盤の挙上は運動開始からほぼ50%の時点までに大きな動きが認められた. 重量物あり・なしで比較すると明らかな違いは認められなかった. 【考察】 腰椎・骨盤リズムを三次元的にとらえ観察することは, 作業環境の身体に対する影響をとらえるうえで重要と思われる.
ISSN:0289-3770