肩外転等尺性収縮時の両側僧帽筋活動

【はじめに】 労働に関する筋骨格系障害(work-related musculoskeletal disorders;WMSDs)とは, 労働によって生じる神経, 筋骨格系の機能不全を表し, 理学療法分野においても最近注目されている. 作業形態の中でも特に上肢を多用する作業における憎帽筋上部線維の訴えは多く種々の分析が報告されている. 僧帽筋上部線維は頚椎を中心に両側扇形の形態をなし, 作業上肢側僧帽筋の筋活動は頚椎固定の見地より, 対側僧帽筋への影響が考えられる. そこで今回一側上肢での動作時における僧帽筋のco-lateral activationに着目し, 筋電図学的検討を行った. 【対...

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Veröffentlicht in:理学療法学 1999, Vol.26 (suppl-1), p.43-43
Hauptverfasser: 馬上直子, 下野俊哉, 古川公宣, 田中深雪, 豊田愼一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【はじめに】 労働に関する筋骨格系障害(work-related musculoskeletal disorders;WMSDs)とは, 労働によって生じる神経, 筋骨格系の機能不全を表し, 理学療法分野においても最近注目されている. 作業形態の中でも特に上肢を多用する作業における憎帽筋上部線維の訴えは多く種々の分析が報告されている. 僧帽筋上部線維は頚椎を中心に両側扇形の形態をなし, 作業上肢側僧帽筋の筋活動は頚椎固定の見地より, 対側僧帽筋への影響が考えられる. そこで今回一側上肢での動作時における僧帽筋のco-lateral activationに着目し, 筋電図学的検討を行った. 【対象】 健常成人男性5名. 平均年齢22.5歳(20~25歳)を対象とした. 【方法】 座位にて肩外転動作を行わせその時両側僧帽筋からの筋活動電位を導出した. 表面筋電計はNoraxon社製Myosystem1200を使用し, 電極は僧帽筋上部線維筋腹上に設置した. 肩外転動作は片側動作および両側同時動作とし0°, 45°, 90°, 135°, 180°の角度で等尺性収縮を行わせ, 負荷量は負荷なし, 1kg, 3kgとした. 筋活動の分析は積分値を用い, 最大等尺性収縮時の筋活動で標準化した. 【結果】 片側外転時, 同側僧帽筋からの筋活動は外転角度および負荷量が増すにつれほぼ直線的に増加を示し, 特に3kgの負荷量では増加傾向が早期に見られた, その活動量は片側外転90°において負荷なし11.6%, 1kg17.5%, 3kg32.5%であり, 同様に180°で, 29.7%, 36.8%, 43.4%であった. 片側外転時, 対側僧帽筋からの筋活動も角度と負荷量が増すにつれ増大する傾向が見られたが, その筋活動量は負荷なしで最大1.7%, 1kgで最大3.7%, 3kgで最大6.1%であった. 両側外転時, 僧帽筋からの筋活動量は角度, 負荷量が大きくなるに従いほぼ直線的に増加を示すが, 片側外転時に比べ筋活動が増加する傾向が見られた. 両側外転時90℃で負荷なし13.2%, 1kg19.9%, 3kg35.7%, 同様に外転180℃で, 32.8%, 37.7%, 48.4%であった. また3kg負荷時では, 外転角0℃においてもわずかに筋活動を認めた. 【考察】 片側動作時における僧帽筋のco-lateral activationは外転角度, 負荷量が大きくなるに従い増大する傾向がみられ, その活動量は最大収縮の10%以下と少なかった. しかしながら長時間作業環境においてはわずかな筋活動も問題となる可能性が考えられる. また両側動作時の僧帽筋活動量の増大は, 動作筋としての作用に頚椎固定の作用が加わるため相乗的に活動が増加するものと思われ, この点も考慮されるべきと思われる.
ISSN:0289-3770