健常者における垂直位と等分位の定位能力について

【目的】本研究の目的は, 空間認知や身体軸の歪みを評価する目的で行われるstick testや垂線描画testを用い, 各年代別健常者の垂直位及び等分位の標準値を求め, 両テスト間の関連を検討することである. 【被検者】15~78才の健常者89名(男性42名, 女性47名)である. 【方法】下縁から5cmのところに30cmの水平線を描いた横置きのB4用紙を, 用紙下縁を床面から130cmの高さに合わせ壁面に水平に貼り付けた. 被検者は紙の正面に立ち, 棒状のマグネット(幅1.4cm, 長さ30cm)を水平線に等分かつ垂直となるよう貼り付けた. 同様に鉛筆で垂線を描くことを行った. 両テストとも...

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Veröffentlicht in:理学療法学 1999, Vol.26 (suppl-1), p.40-40
Hauptverfasser: 清水智英子, 富井豊人, 倉島謙吾, 亀田美保, 三浦ひろ子, 半田健壽
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】本研究の目的は, 空間認知や身体軸の歪みを評価する目的で行われるstick testや垂線描画testを用い, 各年代別健常者の垂直位及び等分位の標準値を求め, 両テスト間の関連を検討することである. 【被検者】15~78才の健常者89名(男性42名, 女性47名)である. 【方法】下縁から5cmのところに30cmの水平線を描いた横置きのB4用紙を, 用紙下縁を床面から130cmの高さに合わせ壁面に水平に貼り付けた. 被検者は紙の正面に立ち, 棒状のマグネット(幅1.4cm, 長さ30cm)を水平線に等分かつ垂直となるよう貼り付けた. 同様に鉛筆で垂線を描くことを行った. 両テストとも1回毎に用紙を貼り変え10試行した. stick testは被検者が紙に置いたstickの右辺に沿って引いた線と, 垂線描画testでは, 垂線の描き始めの点と垂線と水平線との交点を結んだ線と, 水平線とのなす左内角を1度単位の分度器で測り, 水平線の左端から交点までの長さを定規で測った. 但し, stick testの場合はstickの幅の1/2(0.7cm)を減じデータとした. 各年代の平均値と標準値を求め, 各年代別の相違は一元配置分散分析を行った. また両テスト間の関連について検討した. 【結果】stick testでの左内角は平均89.9±0.3度, 最大値91度, 最小値89度であった. 左端からの長さは平均14.6±0.44cm, 最大値16.1cm, 最小値12.7cmであった. 垂線描画testでの左内角は平均89.9±1.20度, 最大値95度, 最小値85度であった. 左端からの長さは平均14.7±0.61cm, 最大値は16.8cm・最小値は12.3cmであった. 両テストとも左内角, 左端からの長さにおける年齢による差はなかった(左内角はstick test F[6,82;0.05]=0.52, 垂線描画test F[6,82;0.05]=1.45, 左端からの長さはstick test F[6,82;0.05]=1.19, 垂線描画test F[6,82;0.05]=0.88). 両テストの関連について調べてみると, 左内角については相関がないが, 左端からの長さについては直線相関y=0.79x+3.2(r=0.60)(x;stick test Y;垂線描画test)がみられた. また, 左内角と左端からの長さの相関について調べてみると, stick testには相関がなかったが, 垂線描画testにおいては直線相関y=-0.21x+33.7(r=-0.37)(x;左内角 y;左端からの長さ)がみられた. 【考察及びまとめ】15~78才の健常者89名でstick test及び垂線描画testを用い, 垂直位と等分位の定位能力について調べた結果, (1)両テストとも期待値に近く, ばらつきは少なく, 年齢差はなかった. このことにより標準値として扱うことができる. (2)垂線描画testはstick testよりも, 左内角, 左端からの長さのばらつきが大きかった. (3)両テスト間で左内角については相関はないが, 左端からの長さでは正の相関がみられた. (4)左内角と左端からの長さについては, stick testでは相関はないが, 垂線描画testでは負の相関があった.
ISSN:0289-3770