膝関節屈曲拘縮の変化が変形性膝関節症患者の臨床症状に及ぼす影響
【はじめに】老人の大多数は手術を避け, 何とか保存療法で痛みや関節水腫を少しでも軽減してほしいと訴える. しかし, 臨床では長期的な経過観察が可能な場合は少なく, 保存療法で満足いく効果が出にくいのが事実である. そこで, 今回は, 変形性膝関節症(以下OA)患者の膝関節屈曲拘縮の評価で, OA患者の臨床症状の変化の改善が予測可能であることが示唆できたので報告する. 【症例】膝関節屈曲拘縮を認めた症例は変形性膝関節症の内側型の例で, 今回は保存療法開始後3ヵ月以上経過した532例について検討した. 膝関節屈曲拘縮の角度は5°から40°, 平均16°であった. 尚, 前症例について, 下肢伸展挙...
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Veröffentlicht in: | 理学療法学 1999, Vol.26 (suppl-1), p.15-15 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】老人の大多数は手術を避け, 何とか保存療法で痛みや関節水腫を少しでも軽減してほしいと訴える. しかし, 臨床では長期的な経過観察が可能な場合は少なく, 保存療法で満足いく効果が出にくいのが事実である. そこで, 今回は, 変形性膝関節症(以下OA)患者の膝関節屈曲拘縮の評価で, OA患者の臨床症状の変化の改善が予測可能であることが示唆できたので報告する. 【症例】膝関節屈曲拘縮を認めた症例は変形性膝関節症の内側型の例で, 今回は保存療法開始後3ヵ月以上経過した532例について検討した. 膝関節屈曲拘縮の角度は5°から40°, 平均16°であった. 尚, 前症例について, 下肢伸展挙上訓練, 超音波水治療法, 外側楔状足底板装着を実施し, 薬物療法, 関節内注入療法に関しても同条件とした. 更に膝関節屈曲拘縮に対しての他動的な関節可動域訓練も実施しなかった. これら532例を保存療法開始より3ヵ月経過した時点の膝関節屈曲拘縮角度が10°未満のものをI群, 10°以上のものをII群とし, 横浜市立大学案のOA判定基準にしたがって臨床症状の変化を検討した. 【結果】判定基準の総合得点で60点以上を治療効果発現群とし60点未満を治療効果非発現群とした. 治療効果発現群は324例, 非発現群は208例であり, 保存療法開始時の膝関節屈曲拘縮の角度に関係なく, 3ヵ月経過した時点でI群であれば97%に治療効果を認め, II群であれば84%は治療効果が認められない結果となった. I群でも効果発現に至らなかった例は, 体重増加が認められた例, 内科的合併症が認められる例であった. II群では, 膝関節屈曲拘縮自体は減少しているが, それでも10°以上の屈曲拘縮が認められた例が大部分であった. 【膝関節屈曲拘縮の改善効果について】福井らは, 体重増加と加齢による姿勢変化がOAの内反変形発生機序であろうと予想しており, それに伴う重心の後方化と膝関節への負担増加を述べている. それからすると膝関節屈曲拘縮改善の効果は, 重心の正常化と膝関節負担減少であろうと考える. 【まとめ】(1)膝関節屈曲拘縮を認めた内側型OA患者532例について, SLREを中心とした保存療法を実施し, 横浜市立大学案の膝関節治療判定基準にしたがって, 臨床症状の変化を評価した. (2)保存療法開始時の膝関節屈曲拘縮の角度に関係なく, 3ヵ月以上経過した時点で膝関節屈曲拘縮の角度が10°未満であれば, OA患者の臨床症状の改善予測が可能であった. (3)膝関節屈曲拘縮の改善の意味は, 重心の正常化と膝関節への負担の減少にあると思われる. |
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ISSN: | 0289-3770 |