嚥下と呼吸の位相差による定量的嚥下評価法に関する基礎的研究

健常成人,高齢者および嚥下障害者の喉頭運動と呼吸運動をストレインゲージ法で同時に記録して,嚥下と呼吸の相互連関について検討した。嚥下反射は3mlの飲水で誘発した。健常成人では喉頭挙上開始から238±32msec(平均±標準誤差)遅延して嚥下呼吸の吸息が開始した。喉頭降下開始から165±29msec遅延して嚥下呼吸は呼息相に移行した。この相互連関は高齢者においても同様であった。この相互連関が維持されているときには正常な嚥下が観察された。したがって,その相互連関がスムーズな嚥下物の移送に必要不可欠であることが示唆された。一方,嚥下障害者では誤嚥が誘発された。この時には嚥下発生までに潜時が認められた...

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Veröffentlicht in:理学療法学 1998/07/31, Vol.25(5), pp.292-299
Hauptverfasser: 藤野, 英己, 祢屋, 俊昭, 武田, 功, 菅, 弘之
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:健常成人,高齢者および嚥下障害者の喉頭運動と呼吸運動をストレインゲージ法で同時に記録して,嚥下と呼吸の相互連関について検討した。嚥下反射は3mlの飲水で誘発した。健常成人では喉頭挙上開始から238±32msec(平均±標準誤差)遅延して嚥下呼吸の吸息が開始した。喉頭降下開始から165±29msec遅延して嚥下呼吸は呼息相に移行した。この相互連関は高齢者においても同様であった。この相互連関が維持されているときには正常な嚥下が観察された。したがって,その相互連関がスムーズな嚥下物の移送に必要不可欠であることが示唆された。一方,嚥下障害者では誤嚥が誘発された。この時には嚥下発生までに潜時が認められたり,喉頭挙上に先行して嚥下呼吸がみられた。これらの結果から,相互連関の乱れが誤嚥に関与することが示唆され,本研究に使用した測定法が嚥下障害の定量的評価法として有用であると考えられる。
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.KJ00003130762