変形性股関節症患者の主成分分析によるグループ化

研究の目的 当院は, 整形外科中心のリハビリテーションを行っている. 中でも変形性股関節症の術後理学療法は年間200症例を超えている. そこでこの豊富な症例を生かし変形性股関節症の病態を一要因から捉えるのではなくマルチファクターで患者の障害像をつかみ, これらパラメーターを主成分毎にグループ化することで, それぞれのグループの特徴を見つけだす. そしてグループ毎で退院後のADL追跡調査を行い, 改善したADLと依然困難なADLを調べていく. これらデーターの蓄積により我々PTは術前評価の時点で患者の障害像のグループ化を行い, 退院後のADL能力の予測と問題点の把握が可能となり, 術後理学療法で...

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Veröffentlicht in:理学療法学 1995, Vol.22 (suppl-3), p.64-64
Hauptverfasser: 加藤 浩, 藤野英次朗, 上島隆秀, 城石晴子, 時枝美貴, 禰占哲朗, 高杉紳一朗, 林 和生, 杉岡洋一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:研究の目的 当院は, 整形外科中心のリハビリテーションを行っている. 中でも変形性股関節症の術後理学療法は年間200症例を超えている. そこでこの豊富な症例を生かし変形性股関節症の病態を一要因から捉えるのではなくマルチファクターで患者の障害像をつかみ, これらパラメーターを主成分毎にグループ化することで, それぞれのグループの特徴を見つけだす. そしてグループ毎で退院後のADL追跡調査を行い, 改善したADLと依然困難なADLを調べていく. これらデーターの蓄積により我々PTは術前評価の時点で患者の障害像のグループ化を行い, 退院後のADL能力の予測と問題点の把握が可能となり, 術後理学療法で家庭復帰に向けてのポイントをしぼった指導が行えるものと考える. 対象及び方法 (1)対象は, 変形性股症患者50例(THR15例, VAL15例, VAR10例, RAO10例). (2)方法は, 患者からの一般データーとして年齢, 性別, 体重, 身長, 術式, 病名, 職業, ADL評価を行う. ・主成分データーとして 1)MMT(股関節外転筋筋力, 膝関節伸展筋筋力) 2)ROM(股関節外転, 伸展, 屈曲) 3)脚長差(SMD, NMD) 4)大腿部周径(膝蓋骨上縁から10cm上) 5)筋短縮(SLR, Thomas, Elears) 6)レントゲン(CE, SHARP) 7)歩行解析(立脚支持期, 両脚支持期の時間, ケイデンス, 歩行スピード etc.) 8)股関節外転筋の筋電図周波数解析 9)歩行時の痛みの評価(VAS) ・退院後の外来時に再度上記評価. 予測される結果と考察 主成分分析とは, 全情報量のうち不必要な情報量を取り除き必要な情報量に基づいて要因間の規則性を見出すものである. つまり多数考えられる股関節症の障害像の要因を2軸程度の指標に置き換えることで, ある単一の情報にとらわれない全体的視野からの障害像を捉えることができるという特徴がある. 予測される結果としては, 第1主成分ではROM, MMT, 痛み, 歩容など主成分データーの全体にわたり固有ベクトルが大きくなり寄与率も大きくなるものと考える. これは末期変股症患者の特徴を示す指標として考えられる. 第2主成分ではMMT, ROMなど何れか1つの固有ベクトルが大きくなる特徴を示し, それがMMTであれば筋パワー, 筋電図周波数解析からは高周波成分の減少などが特徴として現れるものと考える. そしてこの第2主成分の値の大小はグループ化に大きく左右する. この事から第2主成分で特徴を示す要因が何であるかが今回研究のキーになるものと考える. 又第1, 第2主成分で累積寄与率が80%以上となり多次元データーの情報のほとんどが吸収されるものと考える. またこれらデーターの相関行列から, ROMと最も相関している要因, 又は歩容(アニマMG-1000で計測した立脚遊脚時間の左右比など)と最も相関している要因など, 各要因間での特徴も見つける事ができると考える. ADLとの関連性では, 第1主成分が低い値を示せば当然ADL能力が低い事は推測できる. しかし第2主成分での値が保たれている人は, 術後ADLの改善点に何らかの差を生じる可能性があるのではないかと考える. そこを今回の研究で明らかにしてみたい.
ISSN:0289-3770