動作分析

動作分析という言葉から, どういったイメージを思い浮かべられるでしょうか? 歩行分析, 関節モーメント, 床反力等々といった工学的, 分析的なイメージでしょうか? これらの情報は数字や言葉で表すことが可能な, 明示的な情報といえます. 一方でたとえば子どもの「あの人は足が悪くて歩くのが大変そうだね. 」という観察による直感的な印象もまた立派な情報の一つであります. この情報は印象であり明示的, 分析的とは言いがたいですが, 全体的な問題の本質をよく表現しています. 臨床上, 私たち理学療法士に必要な動作分析とは, 障害の重症度を判定・評価するのみでなく, 治療の手がかりを得るための分析でなけれ...

Ausführliche Beschreibung

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:理学療法学 1995, Vol.22 (suppl-3), p.56-56
1. Verfasser: 北村 啓
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:動作分析という言葉から, どういったイメージを思い浮かべられるでしょうか? 歩行分析, 関節モーメント, 床反力等々といった工学的, 分析的なイメージでしょうか? これらの情報は数字や言葉で表すことが可能な, 明示的な情報といえます. 一方でたとえば子どもの「あの人は足が悪くて歩くのが大変そうだね. 」という観察による直感的な印象もまた立派な情報の一つであります. この情報は印象であり明示的, 分析的とは言いがたいですが, 全体的な問題の本質をよく表現しています. 臨床上, 私たち理学療法士に必要な動作分析とは, 障害の重症度を判定・評価するのみでなく, 治療の手がかりを得るための分析でなければならないと考えます. この視点から動作分析をとらえると, 上記の全体的な印象から関節モーメントと言った分析的な項目に分解する(あるいはその逆)のではなく, 動作をありのままにまず解釈できるコンセプトが必要となってくるのではないでしょうか. この解釈を前提として初めて, その原因を類推することが可能となってきます. 以上の問題意識から本セミナーでは, 以下の3点についてみなさんと一緒に考えてみたいと思います. 第1に手がかりとして平衡反応を力学的な視点から, 重力に抗して安全にかつ効率的に動くためのパターンとして捉え直してみます. 第2にこの見方から正常なヒトの一生の中で, 重力への適応のための姿勢と動作がどのように変遷するのかを紹介します. そして第3に, この見方を臨床の中で応用していくために, 要求される思考過程について分析, 紹介します. インフォームド・コンセントからインフォームド・チョイスへと, 私たちに要求される能力は増大してきている中で, 本セミナーがこの動作分析の概念を理学療法士の専門性を支える柱の一つとして, 確立するきっかけとなることを期待しています.
ISSN:0289-3770