片麻痺患者の歩行障害に対する理学療法の選択基準

「目的」 片麻痺に対する理学療法は伝統的な理学療法に始まり, 現在はボバース法やPNF法等のfacilitation techniqueを組み合わせた理学療法が行われるようになってきた. 近年, 我国においてfacilitation techniqueの効果に対する疑問が起こり, その効果報告や再検討が徐々に行われつつある. しかし, 各理学療法の効果比較や理学療法手技の選択基準に関する報告は皆無である. そこで, 今回, 我々は片麻痺の歩行障害に対する理学療法技術の選択について, 米国のH.V.Finebergが臨床意志決定のために確立した臨床判断分析学を応用し検討を加えたので報告する. 「...

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Veröffentlicht in:理学療法学 1990, Vol.17 (suppl), p.20-20
Hauptverfasser: 川村博文, 鶴見隆正, 辻下守弘, 山本博司, 貞廣哲郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「目的」 片麻痺に対する理学療法は伝統的な理学療法に始まり, 現在はボバース法やPNF法等のfacilitation techniqueを組み合わせた理学療法が行われるようになってきた. 近年, 我国においてfacilitation techniqueの効果に対する疑問が起こり, その効果報告や再検討が徐々に行われつつある. しかし, 各理学療法の効果比較や理学療法手技の選択基準に関する報告は皆無である. そこで, 今回, 我々は片麻痺の歩行障害に対する理学療法技術の選択について, 米国のH.V.Finebergが臨床意志決定のために確立した臨床判断分析学を応用し検討を加えたので報告する. 「方法」 臨床判断分析学は解決すべき問題の設定から始まり, 治療選択枝の決定, 治療結果の想定, 治療結果の確率の設定, 治療結果の効用値の設定, 確率と効用値を掛け合わせた期待効用値の算出, さらに, 必要に応じて感受性分析を行う等の7つの手順を踏み分析していくものである. 今回, 我々は問題設定を片麻痺による歩行障害として取り上げた. これに対する治療選択枝として5枝を設定した. 第1枝としてconventional ex.(ROM ex., Mat ex., 平行棒内歩行訓練等)を, 第2枝としてfacilitation technique(ボバース法, PNF法)を, 第3枝として早期長下肢装具療法(以下早期LLB療法)を, また理学療法を行わない場合として関節拘縮, 廃用性筋萎縮等が生じた群を第4枝に, 患者の自動運動のみとした群を第5枝として設定した. 治療結果の想定は, 退院時の歩行能力を基準として, 自立歩行, 介助歩行, 歩行不能とに分類設定した. 治療結果の確率は, 我々の自験例と片麻痺の理学療法に関する国内外250の論文中, 治療効果に言及している27論文を基に平均化して設定を行った. 効用値は患者からの主観的QOLを基に設定した. さらに, 期待効用値を算出し比較検討した.
ISSN:0289-3770