12 上顎洞に充満した巨大な含歯性嚢胞の1例
小児における歯原性嚢胞のうち含歯性嚢胞は最も発生頻度の高いものであるが無症状のことが多くときに巨大化する. 今回われわれは13歳女児の上顎洞内に充満した巨大な含歯性嚢胞に対し乳歯の抜歯窩より洗浄を行い嚢胞の縮小後, 嚢胞摘出術を行い良好な結果を得たので報告した. 患者は13歳, 女児. 平成18年12月26日左上顎歯肉腫脹を主訴に当科初診. 【現病歴】同月中旬ごろ左上E舌側歯肉の腫脹を認めたためかかりつけ歯科受診, 消炎後同月25日同歯を抜歯される. その際抜歯窩より多量の排膿と上顎洞穿孔を認めたため当科紹介にて初診. 【現症】左頬部の腫脹あり. 左上E抜歯窩よりゾンデ挿入可能. 【パノラマ所...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 小児口腔外科 2010, Vol.20 (1), p.72-72 |
---|---|
Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 小児における歯原性嚢胞のうち含歯性嚢胞は最も発生頻度の高いものであるが無症状のことが多くときに巨大化する. 今回われわれは13歳女児の上顎洞内に充満した巨大な含歯性嚢胞に対し乳歯の抜歯窩より洗浄を行い嚢胞の縮小後, 嚢胞摘出術を行い良好な結果を得たので報告した. 患者は13歳, 女児. 平成18年12月26日左上顎歯肉腫脹を主訴に当科初診. 【現病歴】同月中旬ごろ左上E舌側歯肉の腫脹を認めたためかかりつけ歯科受診, 消炎後同月25日同歯を抜歯される. その際抜歯窩より多量の排膿と上顎洞穿孔を認めたため当科紹介にて初診. 【現症】左頬部の腫脹あり. 左上E抜歯窩よりゾンデ挿入可能. 【パノラマ所見】左上46間に5埋伏歯を認めた. 左上顎に巨大な透過像を認めた. 【CT所見】上顎洞前壁や鼻腔に進展し上顎洞内を占拠した嚢胞様像を認めた. 左上5は歯冠を内側にむけ水平に埋伏していた. 抜歯後の多量の排膿により内溶液は認めなかった. 【臨床診断】左上顎含歯性嚢胞. 【処置および経過】抜歯窩からの排液路は確保されていたため保護シーネ作製のうえ嚢胞腔の洗浄を継続し経過観察することとした. 3か月後のCTにて嚢胞の縮小がみられ上方は固有の上顎洞が形成されていた. 7か月後のCTでもさらに嚢胞の縮小がみられ上顎洞前壁と鼻腔への膨隆は消失した. 1年後のCTにてわずかな嚢胞の縮小はあったが左上5埋伏歯の位置は変化なく, これ以上の嚢胞の縮小は期待できないと判断し平成19年12月28日全麻下にて嚢胞摘出術を施行した. 左上顎口腔前庭切開にてアプローチし上顎洞前壁の骨菲薄部より嚢胞腔に入り嚢胞を摘出した. 左上5埋伏歯は保存した. 【病理組織診断】含歯性嚢胞. その後も保護シーネ装着にてスペースを確保していると術後4か月で左上5歯冠が露出してきたため矯正歯科を紹介した. 術後1年のパノラマにて摘出した嚢胞腔は骨形成され左上5歯冠はほぼ萌出した. 嚢胞の再発もなく左上顎洞も正常である. |
---|---|
ISSN: | 0917-5261 |