4 新生児の口蓋に生じた先天性奇形腫の1例
頭頸部領域にみられる先天性奇形腫はまれな疾患であり, 全奇形腫のうち約6%といわれている. 出生時に気道閉塞を起こす可能性が高く, 出生前診断が重要になってくる. 今回我々は, 硬口蓋から鼻腔底および頬粘膜に連続した先天性奇形腫の1例を経験したので報告する. 患児は, 双胎の第2子で妊娠15週時に口腔内腫瘍を指摘された. 母親は, 妊娠30週から羊水過多を指摘されており, 平成21年4月○日(妊娠35週6日), 破水を認め緊急帝王切開で女児を出産した. 術前より, 呼吸困難を呈すると予想されており, 胎児胎盤循環を維持したまま経鼻送管を試みるも換気不十分で抜去し, 速やかに気管切開術を施行した...
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Veröffentlicht in: | 小児口腔外科 2010, Vol.20 (1), p.69-69 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 頭頸部領域にみられる先天性奇形腫はまれな疾患であり, 全奇形腫のうち約6%といわれている. 出生時に気道閉塞を起こす可能性が高く, 出生前診断が重要になってくる. 今回我々は, 硬口蓋から鼻腔底および頬粘膜に連続した先天性奇形腫の1例を経験したので報告する. 患児は, 双胎の第2子で妊娠15週時に口腔内腫瘍を指摘された. 母親は, 妊娠30週から羊水過多を指摘されており, 平成21年4月○日(妊娠35週6日), 破水を認め緊急帝王切開で女児を出産した. 術前より, 呼吸困難を呈すると予想されており, 胎児胎盤循環を維持したまま経鼻送管を試みるも換気不十分で抜去し, 速やかに気管切開術を施行した. 術後, 換気良好となった. 腫瘤は直径53×40mm, 弾性軟であり, 表面は皮膚様を呈し, 毛髪を認めた. 右側硬口蓋を基部に有茎性に増大し, 右側下顎枝前縁および舌側, 右側頬粘膜, 右側鼻腔底, 左側硬口蓋部に連続し, 口腔外に突出していた. 右側鼻腔底は腫瘤に置換されており, 欠損した鼻腔内に腫大を認めた. また, 口蓋裂を合併していた. 口蓋部奇形腫の診断のもと, 5月○日, 全身麻酔下に腫瘍切除術を施行した. 術後病理組織検査では, 腫瘍は角化型の重層扁平上皮に被包され, 多数の歯胚構造物, 成熟した汗腺, 皮脂腺, 骨, 筋肉などの成分が混在する成熟奇形腫と診断された. また, 患児は, 右側下顎枝が右下方に偏移し, 咬合させると左側歯堤部が早期に接触し閉口不能であった. 当科では創部の安定後, 保護床の製作, 口腔ケアを施行し, 慎重に経過観察を行っている. |
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ISSN: | 0917-5261 |