13 両側性唇顎口蓋裂を伴ったCHARGE連合に対して口腔外科治療を行った1例
CHARGE連合は目の欠損症, 先天性心疾患, 後鼻孔閉鎖, 成長障害や精神発達遅滞, 生殖器低形成, 外耳奇形や難聴, 顔面神経麻痺のうち, 4つ以上の症状を呈する症候群である. また, 副症状として, 顔面神経麻痺(片側性), 口唇口蓋裂などの病態を示すことも知られている. われわれは, 両側性唇顎口蓋裂を伴ったCHARGE連合に対し, 以下に示す口腔外科的な治療を行い, 長期間の経過観察が可能であった1例を経験したので報告する. 症例は1988年7月, 両側性唇顎口蓋裂を伴って出生した. 1989年に某大学病院形成外科で口唇形成術および口蓋形成術を施行されていた. 1997年2月17日,...
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Veröffentlicht in: | 小児口腔外科 2009, Vol.19 (1), p.56-57 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | CHARGE連合は目の欠損症, 先天性心疾患, 後鼻孔閉鎖, 成長障害や精神発達遅滞, 生殖器低形成, 外耳奇形や難聴, 顔面神経麻痺のうち, 4つ以上の症状を呈する症候群である. また, 副症状として, 顔面神経麻痺(片側性), 口唇口蓋裂などの病態を示すことも知られている. われわれは, 両側性唇顎口蓋裂を伴ったCHARGE連合に対し, 以下に示す口腔外科的な治療を行い, 長期間の経過観察が可能であった1例を経験したので報告する. 症例は1988年7月, 両側性唇顎口蓋裂を伴って出生した. 1989年に某大学病院形成外科で口唇形成術および口蓋形成術を施行されていた. 1997年2月17日, 咀嚼および言語障害を主訴として, 紹介により当科初診となった. 初診時, 上顎の劣成長ならびに外耳変形を認めた. また, 歯列弓の狭窄, 歯の叢生および反対咬合を認めた. さらに, 難聴, 精神発達遅滞などの合併症状も認められ, CHARGE連合と診断した. 口腔鼻腔瘻孔に対しては腸骨海綿骨細片移植による顎裂部閉鎖術を行った. また, 歯列不正に対しては当初歯科矯正治療を計画したが, 患者の治療に対する協力が得られず断念し, 歯周疾患の改善などを目的とした口蓋粘膜移植による口腔前庭拡張術を施行した. 患者は現在19歳であるが, 反対咬合, 顔貌の変形などは改善されておらず, 顎口腔機能の回復は不十分である. 本来であれば外科的矯正治療の適応であるが, 治療が与える負担が患者には耐えられないと家族側が判断したため, 定期的な経過観察中である. 本症例のような精神発達遅滞ともなった先天奇形に対しては, 患者自身の意思確認を得ることが困難なため, 治療に際しては家族の総合的な理解や協力が重要であり, 発育等に配慮した治療方法の検討が重要であると思われる. 今後, 本症例に対しては慎重に包括的な治療方針を検討し, 患者のQOLの改善を図る予定である. |
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ISSN: | 0917-5261 |