A-12 12歳男児の口蓋に生じた多形性腺腫の1例

多形性腺腫は比較的発現頻度の高い唾液腺腫瘍であるが, 15歳以下にみられることは少ないとされる. 今回われわれは12歳男児の口蓋に生じた多形性腺腫を経験したので, その概要を報告した. 患者は12歳男児で, 2003年2月12日に近医矯正歯科を受診した. その際に口蓋の腫瘤を指摘され2月14日当科紹介受診となった. 初診時, 右側硬口蓋から軟口蓋にかけて20mm×15mm大, 弾性やや硬, 表面平滑で健常色の腫瘤を認めた. 圧痛, 自発痛ともに認めなかった. CT像では右側口蓋に20mm×15mm大の比較的境界明瞭で周囲軟組織と同程度のdensityの腫瘤を認めた. 骨破壊像および骨の圧迫吸収...

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Veröffentlicht in:小児口腔外科 2006, Vol.16 (1), p.75-76
Hauptverfasser: 安居孝純, 金納利絵, 岩崎良太郎, 太田亜紀, 鬼澤勝弘
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:多形性腺腫は比較的発現頻度の高い唾液腺腫瘍であるが, 15歳以下にみられることは少ないとされる. 今回われわれは12歳男児の口蓋に生じた多形性腺腫を経験したので, その概要を報告した. 患者は12歳男児で, 2003年2月12日に近医矯正歯科を受診した. その際に口蓋の腫瘤を指摘され2月14日当科紹介受診となった. 初診時, 右側硬口蓋から軟口蓋にかけて20mm×15mm大, 弾性やや硬, 表面平滑で健常色の腫瘤を認めた. 圧痛, 自発痛ともに認めなかった. CT像では右側口蓋に20mm×15mm大の比較的境界明瞭で周囲軟組織と同程度のdensityの腫瘤を認めた. 骨破壊像および骨の圧迫吸収像は認めなかった. 口蓋腫瘍の臨床診断のもと生検を行い多形性腺腫と診断され, 同年3月26日全身麻酔下に口蓋腫瘍切除術を施行した. 硬口蓋部は骨膜まで切除した. 切除後, 創部にはテルダーミス(R)を貼付しサージカルパックにて圧迫固定した. 摘出物所見:腫瘍は線維性被膜で被われた境界明瞭な類球形腫瘤で割面は乳白色, 充実性で中心部に壊死組織を認めた. 病理組織検査:切除物の中心部に壊死を伴った腫瘍性病変と唾液腺組織を認め, 腫瘍は線維性被膜で被われ, 腫瘍辺縁部では2層性の細胞からなる腺管構造や好塩基性の粘液腫様形態がみられた. 明らかな軟骨成分は認められなかったが, 所々には扁平上皮への分化も認めた. 術後2年6か月経過した現在, 再発なく経過良好である. 質問 埼玉医大, 総合医療センター, 歯口外 下山哲夫 学校歯科検診での指摘はなかったですか. 腫瘤と歯列不正の関連について 回答 川崎市立川崎病院, 歯口外 安居孝純 渉猟し得た限りでは, 腫瘍により歯列不正をきたした報告はなかったが, 切除後の瘢痕形成により歯列不正を生じた症例が1例でした.
ISSN:0917-5261