A-11 上皮成分の増殖をともなった萌出嚢胞の1例
小児の歯肉に発生する病変には, 歯肉嚢胞, 萌出嚢胞および歯原性腫瘍などがある. 今回われわれは, 臨床的ならびに病理組織学的に診断が困難であった上皮成分の増殖をともなった萌出嚢胞の1例を経験したので若干の考察を加え報告した. 患者は1歳4か月の男児で, 平成15年9月26日下顎歯肉の腫脹を主訴に芳賀赤十字病院歯科口腔外科を受診した. 既往歴と家族歴に特記事項はなかった. 現病歴としては, 平成15年8月下旬, 左側下顎歯肉の腫脹のため近歯科を受診し, その際穿刺吸引を行い, 腫脹は消退したが, 20日後に再度腫脹がみられたため当科を紹介され来院した. 初診時, 左側下顎歯肉に20×15大の半...
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Veröffentlicht in: | 小児口腔外科 2005, Vol.15 (1), p.73-73 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 小児の歯肉に発生する病変には, 歯肉嚢胞, 萌出嚢胞および歯原性腫瘍などがある. 今回われわれは, 臨床的ならびに病理組織学的に診断が困難であった上皮成分の増殖をともなった萌出嚢胞の1例を経験したので若干の考察を加え報告した. 患者は1歳4か月の男児で, 平成15年9月26日下顎歯肉の腫脹を主訴に芳賀赤十字病院歯科口腔外科を受診した. 既往歴と家族歴に特記事項はなかった. 現病歴としては, 平成15年8月下旬, 左側下顎歯肉の腫脹のため近歯科を受診し, その際穿刺吸引を行い, 腫脹は消退したが, 20日後に再度腫脹がみられたため当科を紹介され来院した. 初診時, 左側下顎歯肉に20×15大の半球状の腫瘤を認めた. 表面粘膜色は正常であった. レントゲン所見では第1乳臼歯歯冠を含む充実性病変が認められ, CTでは内部は均質で筋組織に近似したCT値であった. 下顎歯肉良性腫瘍(辺縁性歯原性腫瘍)の臨床診断にて, 平成15年10月7日生検を施行した. 病変に切開を加えた際, 透明で漿液性の内容液が流出した. 病変の中心部には第1乳臼歯歯冠を包む肉芽様の組織が認められた. 病理組織学的には扁平上皮成分の増殖と多数の好中球浸潤が認められた. サイトケラチンに対する免疫染色を行ったところ, 病変の多くが上皮成分であり, 上皮系の腫瘍との鑑別は困難であった. このため, 同年11月12日全身麻酔下にて左側第1乳臼歯の抜歯および周囲歯肉の切除を行い, 歯槽骨を一層削除した. 術後8か月を経過し, 再発はみられず, 定期経過観察を行っている. 質問 宮崎大医歯口外 迫田隅男 CT検査から生検までの期間はどれくらいでしょうか. その間に内容液の貯留があったのではないでしょうか. 回答 明海大歯口外2 加賀谷雅之 CT撮影から生検までは約1週間の期間でした. 質問 青森県立中央病院歯口外 小野芳男 Eの保存は考えられなかったのでしょうか. 回答 明海大歯口外2 加賀谷雅之 病理組織学的に上皮性腫瘍との鑑別が困難で, cancer pearlがないことを差し引いても, 今回のような処置が必要と考えました. |
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ISSN: | 0917-5261 |