A-16.顎顔面骨折小児患者の臨床統計的検討

小児の運動能力, 危険認識や防御能力は発達過程にあり, 生理的発達も未熟なため不意の事故に遭遇することも多い. このため, 小児の口腔, 顎顔面領域の外傷は, 擦過傷, 裂傷, 歯牙破折, 歯牙脱臼などが多発するが, 時には顎骨骨折をきたす例もある. 小児の生理的特徴として, 骨組織は脆弱ではあるが, 柔軟性があるため, 成人とは異なった病態を呈することも多い. 今回, われわれは, 最近の10年間(1993年1月から2002年12月)に対処した小児骨折例の原因や病態, 受診経路, 治療法などを検討したので報告した. 検索対象は, 15歳以下の顎顔面骨折患者27名で, 男児20人, 女児7人で...

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Veröffentlicht in:小児口腔外科 2004, Vol.14 (1), p.54-54
Hauptverfasser: 小嶺満希子, 武田恵理, 二宮嘉昭, 東森秀年, 井上伸吾, 杉山勝, 石川武憲
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:小児の運動能力, 危険認識や防御能力は発達過程にあり, 生理的発達も未熟なため不意の事故に遭遇することも多い. このため, 小児の口腔, 顎顔面領域の外傷は, 擦過傷, 裂傷, 歯牙破折, 歯牙脱臼などが多発するが, 時には顎骨骨折をきたす例もある. 小児の生理的特徴として, 骨組織は脆弱ではあるが, 柔軟性があるため, 成人とは異なった病態を呈することも多い. 今回, われわれは, 最近の10年間(1993年1月から2002年12月)に対処した小児骨折例の原因や病態, 受診経路, 治療法などを検討したので報告した. 検索対象は, 15歳以下の顎顔面骨折患者27名で, 男児20人, 女児7人で, 男女比は2.9:1で, 男児が多かった. 年代別では, 未就学児(0~6歳)4人(14.8%), 小学生(6~12歳)8人(29.6%), 中学生(12~15歳)15人(55.6%)で, 中学生が全体の半数を占めていた. 受傷原因は, 転落や転倒が112人(44.4%), けんか9人(33.4%), 交通事故5人(18.5%), スポーツ1人(3.7%)であった. その内訳は, 未就学児4人は, 全て転落, 転倒であった. 小学生8人のうち, 4人は交通事故, 4人は転倒であった. 中学生の事故は, けんか9人, 転倒4人, 交通事故1人, スポーツ1人であった. 部位別では, 上顎骨折, 頬骨骨折が4例, 他の全例が下顎骨折で, 下顎例では, 大多数が片側の関節突起骨折であった. 受診経路は, 他科または歯科の受診後に来科する例が多く, 24例であった. 治療法は, 偏位の大きな骨体部骨折例ではワイヤーやプレートによる観血的整復固定を, 偏位の小さな骨体骨折や関節頭や突起上端部骨折例では, 顎間固定を主とする症例別の対応が必要であった. 今回, 小児の顎顔面骨折例を成人例と比較して報告した.
ISSN:0917-5261