A-8.乳児・幼小児にみられた口腔腫瘤性病変の臨床統計的観察
乳児, 幼児期の口腔に発生する腫瘤性病変は, 外傷, 発育異常病変や奇形病変の特徴的な関連を示すものが多い. 腫瘤性病変には, 軟組織の腫瘍, 腫瘍類似病変やその他に分類されるが, 特に, 乳児, 幼児期に多発する腫瘤や腫瘤病態を呈するものには, 粘液嚢胞や本質的には奇形性病変である血管腫などがある. 今回, われわれは, 1993年1月から2002年12月までの10年間に広島大学歯学部第2口腔外科で対処した6歳以下の乳児や幼児の腫瘤性病変や腫瘤様病態を臨床統計的に検討した. この10年間に当科で対処した乳児, 幼児患者数は460例で, このうち男児は255例(55.4%), 女児205例(4...
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Veröffentlicht in: | 小児口腔外科 2004, Vol.14 (1), p.49-50 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 乳児, 幼児期の口腔に発生する腫瘤性病変は, 外傷, 発育異常病変や奇形病変の特徴的な関連を示すものが多い. 腫瘤性病変には, 軟組織の腫瘍, 腫瘍類似病変やその他に分類されるが, 特に, 乳児, 幼児期に多発する腫瘤や腫瘤病態を呈するものには, 粘液嚢胞や本質的には奇形性病変である血管腫などがある. 今回, われわれは, 1993年1月から2002年12月までの10年間に広島大学歯学部第2口腔外科で対処した6歳以下の乳児や幼児の腫瘤性病変や腫瘤様病態を臨床統計的に検討した. この10年間に当科で対処した乳児, 幼児患者数は460例で, このうち男児は255例(55.4%), 女児205例(44.6%)であった. これらを病変別に分類すると, 腫瘤性病変を主徴としたものは52例(11.3%)で, 外傷200例に次いで多く認められた. 腫瘤性病変の内訳は, 良性腫瘍7例(血管腫2例, 脂肪腫1例, 乳頭腫2例, 石灰化上皮腫1例, 線維腫1例), 悪性腫瘍1例(悪性末梢神経鞘腫), 粘液嚢胞25例, がま腫7例, Blundin-Nuhn嚢胞5例, エプーリス2例, 他5例であった. 粘液嚢胞や反応性増殖物(エプーリス等)が全体の75%で, 真性腫瘍は少数であった. 乳, 幼児期は唾液分泌が旺盛で, 慢性機械的刺激による導管の閉鎖によって粘液嚢胞が好発することをこれまでに当科では報告してきた. また, 幼児期には口腔の清掃不良状態が生じやすく, 歯の萌出や不安定な咬合状態が慢性刺激となり, 反応性増殖物を生じやすい時期でもある. 乳, 幼児期は種々の生理的変動が生じやすい時期で, 外傷, 悪習癖, 不安定な口腔内環境と発育期が関連して腫瘤性病変を含む口腔疾患が発症すると考えられた. 今回, 乳, 幼児期に認められた腫瘤性病変や病態を発育期と関連させて臨床統計的検討を行い, 報告した. |
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ISSN: | 0917-5261 |