8歳男児の上顎歯肉にみられた青色母斑の1例
青色母斑は, 色素性母斑の特殊な型で, 真皮深層での紡錘形母斑細胞のびまん性増殖を特徴とし, 口腔粘膜での報告は極めて稀である. 今回われわれは, 上顎歯肉部に発生した青色母斑の1例を経験したので文献的考察を加え報告した. 症例は8歳の男児で, 上顎歯肉部の黒色斑を主訴に平成11年5月25日当科を受診した. 現病歴は, 約5年前に某歯科にてCBにサホライドの塗布を受けた. その後, 同部の歯肉に黒色斑があることに気付いたが, 疼痛がなかったため放置していた. 最近になり, 黒色斑の増大を生じてきたため近歯科受診. その際, 本学受診を勧められ当科来院した. 家族歴や既往歴には, 特記事項はなか...
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Zusammenfassung: | 青色母斑は, 色素性母斑の特殊な型で, 真皮深層での紡錘形母斑細胞のびまん性増殖を特徴とし, 口腔粘膜での報告は極めて稀である. 今回われわれは, 上顎歯肉部に発生した青色母斑の1例を経験したので文献的考察を加え報告した. 症例は8歳の男児で, 上顎歯肉部の黒色斑を主訴に平成11年5月25日当科を受診した. 現病歴は, 約5年前に某歯科にてCBにサホライドの塗布を受けた. その後, 同部の歯肉に黒色斑があることに気付いたが, 疼痛がなかったため放置していた. 最近になり, 黒色斑の増大を生じてきたため近歯科受診. その際, 本学受診を勧められ当科来院した. 家族歴や既往歴には, 特記事項はなかった. 全身所見は, 身長129cm, 体重は25kgで, 栄養状態は良好であった. 口腔外所見では, 顔色良好で顔貌は左右対象であった. 顎下リンパ節所見では, 両側大豆大1個で可動性があり, 圧痛を認めなかった. 頸部リンパ節は, 触知しなかった. 口腔内所見では, 2相当頬側歯肉部に11×6mmの青黒色の斑を認め, 周囲組織への滲み出しがみられた. 更に, その上部に1×1mmの限局性で平坦な黒色斑を認めた. 初診時臨床診断は, 色素性母斑の疑い, 悪性黒色腫の疑いであった. X線所見では, 骨の吸収像などの異常所見はなかった. 臨床検査所見では, 異常な所見はなかった. 処置および経過は, 5月25日に凍結外科を併用し試験切除を施行した. 病理組織診断にて青色母斑(celluar type)の診断を得たため, 6月25日に局所麻酔下にて, 周囲健常組織や骨膜を含め切除を行った. 露出した骨面には, 真皮欠損用グラフトを貼付し縫合固定を行った. 現在, 術後5か月で再発なく経過良好であるが, 引き続き経過観察を予定している. |
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ISSN: | 0917-5261 |