気管内挿管麻酔により生じた舌損傷の1例
気管内挿管麻酔の合併症の1つとして, 挿管チューブの機械的刺激による上気道粘膜の損傷が挙げられ, 長時間手術の際には特に注意を要する. 今回我々は, 脳神経外科手術の際, 挿管チューブ及びバイトブロックの機械的な圧迫によって舌の一部壊死による損傷を生じた小児を紹介され, 治療にあたった1例を経験したので, その概要を報告する. 〈症例〉 患者:2歳3か月, 男児. 初診:1991年5月2日. 主訴:舌背部の潰瘍. 既往歴:特記事項なし. 現病歴:1991年4月11日, 某病院において気管内挿管による全身麻酔下にて, 小脳Gangliocytomaの部分摘出術を受けた(麻酔時間7時間40分, 小...
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Zusammenfassung: | 気管内挿管麻酔の合併症の1つとして, 挿管チューブの機械的刺激による上気道粘膜の損傷が挙げられ, 長時間手術の際には特に注意を要する. 今回我々は, 脳神経外科手術の際, 挿管チューブ及びバイトブロックの機械的な圧迫によって舌の一部壊死による損傷を生じた小児を紹介され, 治療にあたった1例を経験したので, その概要を報告する. 〈症例〉 患者:2歳3か月, 男児. 初診:1991年5月2日. 主訴:舌背部の潰瘍. 既往歴:特記事項なし. 現病歴:1991年4月11日, 某病院において気管内挿管による全身麻酔下にて, 小脳Gangliocytomaの部分摘出術を受けた(麻酔時間7時間40分, 小脳体位). 術後, 舌の腫脹が著明で閉口不能となったが, その後症状は軽減し, 舌の一部に壊死組織脱落による組織欠損と潰瘍を認めたため, 同院脳神経外科からの紹介にて当科を受診した. 現症:舌正中溝よりやや左側に, 長さ約30mm・深さは舌下面に至る裂傷様組織欠損及び潰瘍を認めた. 舌の前方部では二分されていた. 処置及び経過:創部周囲に炎症が強かったため, 創が安定するまで外来にて経過観察を行った. 1991年7月12日, 全身麻酔下で舌の瘢痕切除および舌形成術を施行した. 術中, 特に問題はなかったが, 翌日より全身に浮腫が認められ, ネフローゼ症候群を疑い, 他院小児科へ転院とした. 同小児科の腎生検の結果, 巣状糸球体硬化症と診断された. 術後5か月, ネフローゼ症候群は他院にて加療中であるが, 舌の機能は正常で, 創の状態は感染もなく経過良好である. |
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ISSN: | 0917-5261 |