下顎両側小臼歯部に発生した濾胞性歯嚢胞の1例
今回私たちは, 下顎両側小臼歯部に発生した濾胞性歯嚢胞の一例を経験しましたのでその概要を報告します. 患者は右側乳臼歯部咬合時痛を主訴に来院した10歳男児で, 1990年11月頃より下顎右側乳臼歯部に軽度の咬合時痛を認め, その後12月頃より同部の腫脹を認めたため, 近医を受診した所, 当科を紹介され同年12月17日来院した. 顔貌は右側オトガイ部より耳下腺咬筋部にかけてび慢性の腫脹を認め, 左右顎下リンパ節に小豆大で可動性圧痛あり, 各1個ずつ触知した. 口腔内では6ED部頬側歯肉に骨様の膨隆を認め, 羊皮紙様感を触知した. また同6EDの頬舌的動揺を認めた. また, CDE部唇側歯肉に腫脹...
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Zusammenfassung: | 今回私たちは, 下顎両側小臼歯部に発生した濾胞性歯嚢胞の一例を経験しましたのでその概要を報告します. 患者は右側乳臼歯部咬合時痛を主訴に来院した10歳男児で, 1990年11月頃より下顎右側乳臼歯部に軽度の咬合時痛を認め, その後12月頃より同部の腫脹を認めたため, 近医を受診した所, 当科を紹介され同年12月17日来院した. 顔貌は右側オトガイ部より耳下腺咬筋部にかけてび慢性の腫脹を認め, 左右顎下リンパ節に小豆大で可動性圧痛あり, 各1個ずつ触知した. 口腔内では6ED部頬側歯肉に骨様の膨隆を認め, 羊皮紙様感を触知した. また同6EDの頬舌的動揺を認めた. また, CDE部唇側歯肉に腫脹を認め波動を触知した. Dの根尖相当部歯肉に痩孔を認め, 圧迫すると排膿を認めた. 臨床診断:下顎両側小臼歯部濾胞性歯嚢胞の疑い. 1990年12月17日, 局麻下にEDCを抜歯し, 嚢胞開窓術を施行した. 反対側, DEは1991年1月9日, 同様に抜歯し, 嚢胞開窓術を施行した. その後, 後続永久歯の萌出スペースもあり経過観察をつずけ, 下顎左右側小臼歯は萌出を認め, 術後7か月になると, ほぼ咬合線に達し経過良好でした. 小児の下顎骨両側で同時期に発現した濾胞性歯嚢胞は渉猟し得た範囲では発現頻度は, 1%前後と稀な症例を経験したので報告した. |
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ISSN: | 0917-5261 |