15歳以下を対象とした上顎前歯部過剰歯の臨床統計的検討

過剰歯は, 上顎前歯部, 特に中切歯部に発生する頻度が高く, その大多数が埋伏すると言われている. 埋伏過剰歯の摘出にあたっては, 隣在歯・永久歯列への影響, また抜歯時期ならびに粘膜骨膜弁の作製側などの決定に慎重でなければならない. 今回我々は, 1982年4月より1989年8月までの過去7年5か月間に当科を受診し, 初診時に上顎前歯部過剰歯の診断を受けた198例のうち年齢15歳以下の163例について臨床統計的に検討したので報告した. 性別では, 男性122例, 女性41例で, 男女比は2.98:1であった. 163例213歯のうち埋伏178歯, 萌出35歯で, 症例ごとの過剰歯歯数では1歯...

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Hauptverfasser: 大塚泰文, 上山吉哉, 秋山俊樹, 大西正治, 松村智弘
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:過剰歯は, 上顎前歯部, 特に中切歯部に発生する頻度が高く, その大多数が埋伏すると言われている. 埋伏過剰歯の摘出にあたっては, 隣在歯・永久歯列への影響, また抜歯時期ならびに粘膜骨膜弁の作製側などの決定に慎重でなければならない. 今回我々は, 1982年4月より1989年8月までの過去7年5か月間に当科を受診し, 初診時に上顎前歯部過剰歯の診断を受けた198例のうち年齢15歳以下の163例について臨床統計的に検討したので報告した. 性別では, 男性122例, 女性41例で, 男女比は2.98:1であった. 163例213歯のうち埋伏178歯, 萌出35歯で, 症例ごとの過剰歯歯数では1歯のみのもの115例, 2歯を有したもの46例, 3歯を有したもの2例であり, 1歯のみのものが多かった. 初診時の年齢では, 9歳以下が134例を占めており, 平均年齢は8歳4ケ月であった. 埋伏状況等確認の為, 口外法・口内法によるレントゲン撮影が行われているが, 唇口蓋的位置の確認には, 上顎軸位投影が多用され, 163例中100例で撮影されていた. 過剰歯の唇口蓋的位置では口蓋側が136歯, 歯冠方向では逆生が117歯と多かった. 1989年8月31日までに埋伏過剰歯を有する147例中106例に摘出が行われ, 78例は口蓋側に粘膜骨膜弁の作製がなされていた. また, 77例は隣在永久歯歯根未完成の状態で摘出されたが, 54例は逆生過剰歯を有したもの, 同じく54例は摘出以前に隣在歯になんらかの障害を及ぼしていたものであった. 過剰歯の摘出時期は, 年齢・歯列の問題等を総合的に評価したうえで決定されており, 隣在永久歯根尖部が未完成であっても, 摘出により永久歯歯根の発育に影響を及ぼさないと判断された場合には, 可及的早期に摘出が行われていた. 摘出後の予後に関して, 今後さらに検討していきたい.
ISSN:0917-5261