上顎正中過剰埋伏歯の臨床統計学的観察
日常の臨床において, 上顎正中部の過剰埋伏歯の症例に遭遇することはまれではなく, その適切な位置, 状態を把握することは有用である. 今回われわれは, 昭和59年1月より昭和63年12月までの5年間に金沢大学医学部歯科口腔外科を受診した上顎正中過剰埋伏歯を有する84症例106歯を対象として, 臨床統計的に検討を加えたので報告した. 年齢では7・8歳が最も多く全体の約40%を示し, 性別では男子60症例, 女子24症例で約2.5倍の頻度で男子が多かった. 小児と成人を比較すると, 成人ほど男子の割合が多かった. 歯数別では, 1本を有する症例が63症例で, 2本を有する症例が20症例, 3本以上...
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Zusammenfassung: | 日常の臨床において, 上顎正中部の過剰埋伏歯の症例に遭遇することはまれではなく, その適切な位置, 状態を把握することは有用である. 今回われわれは, 昭和59年1月より昭和63年12月までの5年間に金沢大学医学部歯科口腔外科を受診した上顎正中過剰埋伏歯を有する84症例106歯を対象として, 臨床統計的に検討を加えたので報告した. 年齢では7・8歳が最も多く全体の約40%を示し, 性別では男子60症例, 女子24症例で約2.5倍の頻度で男子が多かった. 小児と成人を比較すると, 成人ほど男子の割合が多かった. 歯数別では, 1本を有する症例が63症例で, 2本を有する症例が20症例, 3本以上有する症例は1症例であった. 萌出方向別では1頂生歯17.9%, 逆生歯77.4%, 水平歯4.7%で逆生歯が多かった. また, 成人ほど順生歯に対する逆生歯の割合が多い傾向にあった. 左右差別過剰歯数では, 小児, 成人ともに左右差は認められなかった. 2本を有する症例では, ほとんどが左右1歯ずつであった. 過剰歯の位置では, 小児で口蓋側に位置するものが多く, 成人では唇側に位置するものが多かった. 自覚症状では, 小児は永久歯交換期の際の萌出障害によるものが多く, 成人では感染, 炎症によるものが多く認められた. |
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ISSN: | 0917-5261 |