小児期下顎切除術後の長期経過観察の1例

小児期の下顎骨腫瘍に対する治療においては, 発育, 成長という小児の特殊性のため, 術前の十分な検討および術後の長期における経過観察が重要な課題であると考えられる. 今回, 我々は, 悪性腫瘍の疑いで, 余儀なく下顎骨区域切除を行なった症例について, 11年の長期にわたり, 定期的にX線撮影を行ない, その臨床経過を観察したので報告する. 患児は, 昭和53年3月1日当科初診の3歳の男児で, 左下顎乳臼歯部の腫脹を主訴に来院した. 左下顎骨腫瘍の診断のもとに, 同年3月24日全身麻酔下において左下顎骨区域切除を行なった. 術後経過は良好で, 術後2カ月で左下顎正中側より下顎下線に沿って既に骨の...

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Hauptverfasser: 小野富昭, 岩佐俊明, 杉山芳樹, 石井正俊, 榎本昭二
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:小児期の下顎骨腫瘍に対する治療においては, 発育, 成長という小児の特殊性のため, 術前の十分な検討および術後の長期における経過観察が重要な課題であると考えられる. 今回, 我々は, 悪性腫瘍の疑いで, 余儀なく下顎骨区域切除を行なった症例について, 11年の長期にわたり, 定期的にX線撮影を行ない, その臨床経過を観察したので報告する. 患児は, 昭和53年3月1日当科初診の3歳の男児で, 左下顎乳臼歯部の腫脹を主訴に来院した. 左下顎骨腫瘍の診断のもとに, 同年3月24日全身麻酔下において左下顎骨区域切除を行なった. 術後経過は良好で, 術後2カ月で左下顎正中側より下顎下線に沿って既に骨の新生が認められた. その後, 徐々に新生骨の太さを増していったが, 新生骨遠心端部と残存された顎関節側の骨との骨癒合は見られないまま現在に至っている. 14歳になった現在, 機能的に, 咀嚼は出来るものの, 顎運動が常時, 定まらず, また, 顔面の変形などの問題があるので, これらのことについて検討した.
ISSN:0917-5261