組織診断からみた小児期腫瘍に関する検討
小児期に発生する口腔領域の腫瘍は歯牙の発生や, 組織の発育異常と関連するものが多いのが特徴とされている. 今回われわれは, 当科を受診し治療を行った小児口学的に検討したのでその概要を報告した. 対象は昭和50年1月より昭和63年12月までの14年間に, 金沢大学医学部付属病院歯科口腔外科を受診した15歳以下の患者で, 試験切除あるいは外科的切除を行い病理組織学的に腫瘍と診断された32例であった. 結果は, 歯原性腫瘍14例(43.8%)非歯原性腫瘍18例(56.2%)であった. 成人腫瘍に比べ歯原性腫瘍の発生頻度が高い傾向にあった. 歯原性腫瘍の内訳は, エナメル上皮腫7例(21.9%), 歯...
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Zusammenfassung: | 小児期に発生する口腔領域の腫瘍は歯牙の発生や, 組織の発育異常と関連するものが多いのが特徴とされている. 今回われわれは, 当科を受診し治療を行った小児口学的に検討したのでその概要を報告した. 対象は昭和50年1月より昭和63年12月までの14年間に, 金沢大学医学部付属病院歯科口腔外科を受診した15歳以下の患者で, 試験切除あるいは外科的切除を行い病理組織学的に腫瘍と診断された32例であった. 結果は, 歯原性腫瘍14例(43.8%)非歯原性腫瘍18例(56.2%)であった. 成人腫瘍に比べ歯原性腫瘍の発生頻度が高い傾向にあった. 歯原性腫瘍の内訳は, エナメル上皮腫7例(21.9%), 歯牙腫4例(12.5%), エナメル上皮線維歯牙腫2例(6.3%), エナメル上皮線維腫1例(3.1%)であり, 組織型別発現頻度は全年齢層にみられる歯原性腫瘍の頻度とほぼ同様であった. 非歯原性腫瘍では, 上皮性の腫瘍で乳頭腫3例(9.4%), 多形性腺腫1例(3.1%)であり, 間葉性の腫瘍で血管腫8例(25.0%), リンパ管腫3例(9.4%), 神経性腫瘍2例(6.3%), 線維性組織球腫1例(3.1%)であった. 従来の報告と同様に管腫の占める割合が高かった. また悪性腫瘍は認めなかった. 以上の結果より, 小児期の腫瘍はそのほとんどが良性腫瘍であり, 治療に際しては個体の成長発育を十分に考慮する必要があると考えられた. |
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ISSN: | 0917-5261 |