(P16)航空機事故から学ぶヒューマン・ファクター人間-機械系の不整合-LDL吸着専用装置臨床評価の経験から

エデンの園でアダムが林檎を口にしたことは最古のヒューマン, エラーであり, 過ちを犯すことはわれわれ人間の特性であると認識しなければならない. 医療業界と航空業界はよく対比して論じられており, 医療での危機管理は航空のそれに比し, 30年遅れていると言われている. 〔目的〕今回, われわれは航空業界で提案されているエラーの分析法SHELモデルを用い, 新たに開発されたLDL吸着専用装置MA-03の安全性と操作性について, ヒューマン, ファクターの観点から検討したので報告する. 〔結果〕技術の発達に伴いハードウェアの安全性, 信頼性は著しく向上した. しかし, 一方では自動化, 遠隔化, モジュールのブラックボックス化等により, 人間-機械系に従来にはなかった新たな問題が生じている事が浮き彫りとなった. 〔考察〕臨床の現場に立つわれわれは医療機器の安全性や信頼性を確保するために, 人間の能力, 限界, 特性を十分に考慮した適切な設計や構造, 運用が反映されるよう企業サイドに提案する必要があると思われた. 〔結語〕医療をより安全なものにするためには, このような調査, 研究を重ね, 事故を防ぐための防御機構を詳細に分析し, 人間を含めたシステム全体の信頼性をいかに向上させるかなど, まだ実施すべき課題は山積している.