一次消毒された汚染物の洗浄障害について

血液などで汚染された各種の器械類は, 十分に洗浄した後にオートクレーブなどで滅菌操作を行い再使用するべきである. しかし, 手術室や処置室などにおいて使用した汚染器械を各種の消毒薬に浸漬(一次消毒)し, その後に中央材料室に搬送して本格的な洗浄や滅菌を実施している施設が非常に多く存在する. また, 同一日に複数の患者に使用する消化器用内視鏡においても, 洗浄前に弱い消毒薬に浸漬している施設も存在する. このような一次消毒は付着蛋白質を変性や固着させて, その後の洗浄に障害を及ぼすことが成書などで紹介1, 2)されているが, それぞれの担当部署における理解がまだまだ不十分である. そこでわれわれ...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:医科器械学 2003/06/01, Vol.73(6), pp.281-289
Hauptverfasser: 伏見, 了, 花村, 亮, 中田, 精三, 野口, 悟司, 高階, 雅紀, 門田, 守人, 川本, 武
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:血液などで汚染された各種の器械類は, 十分に洗浄した後にオートクレーブなどで滅菌操作を行い再使用するべきである. しかし, 手術室や処置室などにおいて使用した汚染器械を各種の消毒薬に浸漬(一次消毒)し, その後に中央材料室に搬送して本格的な洗浄や滅菌を実施している施設が非常に多く存在する. また, 同一日に複数の患者に使用する消化器用内視鏡においても, 洗浄前に弱い消毒薬に浸漬している施設も存在する. このような一次消毒は付着蛋白質を変性や固着させて, その後の洗浄に障害を及ぼすことが成書などで紹介1, 2)されているが, それぞれの担当部署における理解がまだまだ不十分である. そこでわれわれは, 血液と消毒薬を混合して血中蛋白質の変性を確認するとともに, 血液成分をステンレス板に塗布した洗浄評価用インジケータ3, 4)を汚染モデルとして使用し, 洗浄に対する障害の程度を具体的に証明すべく実験を行った. その結果, 消毒薬浸漬後に酵素洗剤およびアルカリ性洗剤にて浸漬洗浄を実施しても変性蛋白質はほぼそのまま残存し, ウォッシャーディスインフェクタによる通常の洗浄でも消毒薬の種類によっては変性蛋白質が残存し, さらに超音波洗浄では4種類もの消毒薬処理で変性蛋白質が残存することを具体的に証明したので報告する.
ISSN:0385-440X
1881-4875
DOI:10.4286/ikakikaigaku.73.6_281