透析液の微生物汚染とその対策

〔目的〕透析センターで用いられている透析液などの微生物汚染状況について調べるとともに,これらの汚染防止法を検討した.〔方法〕2002年1月〜6月に,山口県下の9病院の透析センターを対象に,逆浸透膜処理水(RO水)、酸原液(A液)および炭酸水素ナトリウム原液(B液)のそれぞれ18検体,および透析液の40検体の微生物汚染について調査した.この調査は同一病院において2回くり返した.微生物の定量は,トリプチケースソイ寒天培地およびサブロー寒天培地を用いる10倍段階希釈法により行った.また、微生物の同定は,グラム染色,形態学的検査,酸化還元テスト,チトクローム・オキシダーゼテスト,およびアピ【○!R】シ...

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Veröffentlicht in:医科器械学 2003/04/01, Vol.73(4), pp.215
Hauptverfasser: 尾家, 重治, 神谷, 晃, 米田, 勇, 内山, 浩一, 土田, 昌弘, 高井, 公雄, 内藤, 克輔
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:〔目的〕透析センターで用いられている透析液などの微生物汚染状況について調べるとともに,これらの汚染防止法を検討した.〔方法〕2002年1月〜6月に,山口県下の9病院の透析センターを対象に,逆浸透膜処理水(RO水)、酸原液(A液)および炭酸水素ナトリウム原液(B液)のそれぞれ18検体,および透析液の40検体の微生物汚染について調査した.この調査は同一病院において2回くり返した.微生物の定量は,トリプチケースソイ寒天培地およびサブロー寒天培地を用いる10倍段階希釈法により行った.また、微生物の同定は,グラム染色,形態学的検査,酸化還元テスト,チトクローム・オキシダーゼテスト,およびアピ【○!R】システム(日本バイテック)などを用いて行った.〔結果〕汚染菌量(平均±SD)は,RO水が64±173cfu/mL,A液が2±9cfu/mL,B液が114±302cfu/mL,透析液が1.9×10^4±3.9×10^4cfu/mLであった.また,おもな汚染菌は,RO水がRastonia pickettii,B液がPasteurella multocida,透析液がMoraxella spp.やPseudomonas aeruginosaであった.なお,RO水の18検体中1検体(5,5%)がAAMIの基準(≦200cfu/mL)を,また透析液の40検体中17検体(42.5%)がAAMIの基準(≦2,000cfu/mL)を超えていた.一方,調べた9病院のうちの3病院の透析液(計6検体)はいずれもlOcfu/mL以下であったが,これらの3病院ではダイアライザに入る直前の透析回路に限外ろ過膜を装着していた.〔考察〕諸外国と同様にわが国の透析センターでも,使用中の透析液が高頻度かつ高濃度に細菌汚染を受けていることが判明した.RO水、B液および透析液の汚染菌が異なっていたことから,透析液の汚染原因は透析装置内の複雑なチューブ配管と推定される.今後は微生物汚染を受けにくい構造の透析装置の開発が望まれるが,当面の対策としてはダイアライザ直前の回路に限外ろ過膜を装着する方法が勧められる.
ISSN:0385-440X
1881-4875
DOI:10.4286/ikakikaigaku.73.4_215_1