超音波洗浄における水道水と脱気水の洗浄力の比較について

Iはじめに 血液などの体液で汚染した各種器械の洗浄に超音波洗浄装置が広く使用されている. 超音波洗浄に用いる水として水道水が使用されているが, 常温の水道水には酸素ガスが約8 mg/L, 窒素ガスが約14 mg/L含有されており, これらの溶存ガスが超音波の減衰と散乱を引き起すことが知られている. 今回, 我々は水道水と脱気水を用いて超音波洗浄を行い, 洗浄力を比較して脱気水の効果を確認したので報告する. II材料および方法 実験に使用した装置一式を下図に示す. また, 器械表面のアデノシン三リン酸を生物学的発光法により測定して清浄度の指標とした. III成績 超音波洗浄装置のほぼ中央部で水面から1 cm間隔に10 cmまでの音圧レベル(dB)を水道水と脱気水の両者で測定した成績を下図に示す. 水道水では深度により音圧レベルの強弱が認められるが, 脱気水では安定した成績を示した. ハサミと鉗子に血液・卵白混合液を付着させたものを洗浄した結果, ボックス部において脱気水の効果が認められた.