脱気水による超音波洗浄力の増強について

手術使用後の各種器械には血液や微細組織片が付着しており, 感染防止や器械の円滑な作動を維持するために付着物をより完全に取り除くことが非常に重要である1). この目的でプロテアーゼなどを含む洗浄力に優れた酵素洗剤2)が使用され, さらに, ウォッシャ・ディスインフェクタや超音波洗浄装置3)が利用されている. 超音波洗浄に用いる水として水道水が使用されるが, 常温の水道水には酸素ガスが約8g/立方メートル, 窒素ガスは約14g/立方メートル含まれており, これらの溶存ガスが超音波の減衰と散乱を生じることが知られている4, 5). 今回, われわれは水道水と脱気水を用いて超音波洗浄を行い, 脱気水の洗浄力増強効果を確認したので報告する. 装置および方法 1)脱気水製造装置 ZグイジイMiNi脱気水製造装置(FDO-600, 三浦工業)を用いた. 本装置は膜式脱気を原理にしており, 供給された水道水中の溶存ガスは中空糸を通過する間に真空層に排出される.