体外循環用脱血カニューレの流量に関する基礎的検討
体外循環を併用する心臓手術が成功してから40数年余りが経過したが, 現在もなお治療技術は発展しつつあり, 人工肺や回路等の医療材料の高品質化と安定化には目覚しいものがある. 安全, 確実で安定した体外循環技術を確立することは体外循環装置を操作する臨床工学技士の使命であり, 手術成績の向上につながるものである. 体外循環の使用医療材料の一つにカニューレがあるが, 血液凝固系の検討をはじめとして, 生体適合性biocompatibility向上のための抗凝固剤の被覆, 乱流や溶血を防止する血液学, 工学を駆使した幾何学的な設計などの様々な工夫が施されている. カニューレは現在, 多種多様のものが開...
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Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 体外循環を併用する心臓手術が成功してから40数年余りが経過したが, 現在もなお治療技術は発展しつつあり, 人工肺や回路等の医療材料の高品質化と安定化には目覚しいものがある. 安全, 確実で安定した体外循環技術を確立することは体外循環装置を操作する臨床工学技士の使命であり, 手術成績の向上につながるものである. 体外循環の使用医療材料の一つにカニューレがあるが, 血液凝固系の検討をはじめとして, 生体適合性biocompatibility向上のための抗凝固剤の被覆, 乱流や溶血を防止する血液学, 工学を駆使した幾何学的な設計などの様々な工夫が施されている. カニューレは現在, 多種多様のものが開発されているが, 通常の評価は蒸留水を用いたin vitroのデータから算出され, しかもメーカごとに測定条件が異なるため臨床現場で参考し比較するのは困難である. そこで今回われわれは, 臨床使用上, 圧力損失の範囲内で流体の粘性を変化させて, 流量特性についての基礎実験を行った. Baxter社製の遠心ポンプを用いて各種カニューレに陽圧を負荷し, 流体には模擬血液としてグリセリンと蒸留水の混合液を作成し実験を行った. 混合比率を調整し粘度を変化させ熱交換器にて温度調整を行い圧力損失と流量の関係を測定した. 20℃の蒸留水(η=1.00×10^-3 )でBaxter社製TF-0-O90の脱血カニューレ14,16Fを測定した結果, 圧力損失100mmHgの時には2,190ml/分(-14.1%), 2,990ml/分(-16.9%)となり, また, 20,24,28Fの圧力損失40mmHg時では3,300ml/分(-5.7%), 4,780ml/分(-1.7%), 6,420ml/分(+14.9%)の結果を示し, 蒸留水においてもカタログ値との相違がみられた. 臨床使用上では, 粘性の低い希釈体外循環が一般的とされるが血液粘度を考慮した参考値が必要である. 各カニューレの圧力損失と流量特性についての成績を検討し報告する. |
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ISSN: | 0385-440X |