保育器内の音環境が児に与える影響について(<特集>注目される新技術・新製品)

新生児医学においては, 保温, 栄養, および感染予防が古典的3大原則とされている. 在胎37週未満で出生した早期産児は, 臨床的には未熟児とされ, 清潔で正しい温度管理下で養育されることが重要となる. そのため, NICU(新生児集中治療室)では, 児を至適温度環境に保護するために保育器が使用されている. 保育器内の騒音は45dBA未満が好ましいとされるが, NICUには, 機器の警報音, 同期音, あるいはスタッフの話し声などの騒音レベルが60~70dBAあり, また, 保育器内では手入れ窓の開閉音などが50~80dBAに達する. 児の聴覚は在胎26週でも発達しているので, 児をとりまく音...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:医科器械学 1999/08/01, Vol.69(8), pp.378-383
Hauptverfasser: 山口, 靖之, 小田桐, 直子, 池田, 恵介, 志村, 洋子, 橋本, 武夫, 和田, 光弘
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:新生児医学においては, 保温, 栄養, および感染予防が古典的3大原則とされている. 在胎37週未満で出生した早期産児は, 臨床的には未熟児とされ, 清潔で正しい温度管理下で養育されることが重要となる. そのため, NICU(新生児集中治療室)では, 児を至適温度環境に保護するために保育器が使用されている. 保育器内の騒音は45dBA未満が好ましいとされるが, NICUには, 機器の警報音, 同期音, あるいはスタッフの話し声などの騒音レベルが60~70dBAあり, また, 保育器内では手入れ窓の開閉音などが50~80dBAに達する. 児の聴覚は在胎26週でも発達しているので, 児をとりまく音環境を考えるうえで, 児がこれらの騒音にさらされ続けることは重要な課題となっている. 一方, 母親の胎内で児は, より快適な音環境にあったと考えられる. 胎内の児は, 周期的な母親の下行大動脈の血流音, 心拍音, あるいは児自身の心拍音などを聞き, また, 外部からの母親や父親などの音声を胎内伝播音として聞いている. この外部からの胎内伝播音は強弱あるいは高低が変化し, また, 断続的に聞こえてくるので, 周期的な胎内音とは音の性質が異なると考えられ, 未知の刺激として, 児の注意をより強く引き付けることが考えられる. われわれは, これら保育器内の音環境として, 外部からの胎内伝播音に着目し, それらが児の行動発達におよぼす影響について検討したので報告する.
ISSN:0385-440X
1881-4875
DOI:10.4286/ikakikaigaku.69.8_378