21世紀の看護に夢を見る

看護は科学であり, アート(芸術)であるといわれている. 科学的な根拠に基づいた知識と技術で創造される行為である. それによって患者が自ら治癒する力を支えていく行為が看護である. そして看護婦の夢は, 患者に最高の看護を提供し, それが客観的に認められることである. 最高の看護, 良質の看護を提供するために必要不可欠な要素は多くあるが, 人員的により豊かでありたいということが第一にあげられる. 欧米に比べて我が国の余りにも貧困な1患者あたりの看護婦数は, 看護の質の保障に障害を来たし, それはとりもなおさず患者が損害を被るということである. 表1は主要国の平均在院日数と職員数の関係を示したもの...

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Veröffentlicht in:医科器械学 1998, Vol.68 (10), p.453-454
1. Verfasser: 三宅寿美
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:看護は科学であり, アート(芸術)であるといわれている. 科学的な根拠に基づいた知識と技術で創造される行為である. それによって患者が自ら治癒する力を支えていく行為が看護である. そして看護婦の夢は, 患者に最高の看護を提供し, それが客観的に認められることである. 最高の看護, 良質の看護を提供するために必要不可欠な要素は多くあるが, 人員的により豊かでありたいということが第一にあげられる. 欧米に比べて我が国の余りにも貧困な1患者あたりの看護婦数は, 看護の質の保障に障害を来たし, それはとりもなおさず患者が損害を被るということである. 表1は主要国の平均在院日数と職員数の関係を示したものであるが, 米国の3.5人以上の職員に対して我が国の1人以下では在院日数が4倍になる事実からも明白である. また, 二木は先進国医療の「三極構造」としてGNP比の医療費の少なさも指摘している. 以上から我が国では医療に対して, 諸外国との比較においてお金も人も不足していると言わざるを得ない. そして, もう一つの問題は看護に必要とされる医療機器の整備が不十分であることである. これは諸外国との比較はできないが, 患者の最も身近にいる看護婦の使い勝手の良い医療機器やシステムが整備されれば, より良い看護の提供につながる. 以下に医療機器に対する看護婦から見る夢を述べる. 1)医療機器が使用される医師によって異なる弊害は大きく, 看護婦が振り回されないように標準化されないものか 2)医療機器の桁はずれた高値は, 治療や看護の質に影響を与えていないか 3)医療機器は使い手あるいは患者のどの部分に焦点を当てて制作されているのか. 限りなく患者の苦痛軽減や安全確保に焦点が当てられているのか. 医師や制作者の都合が優先していないか 4)看護婦により便利な機器がもっと制作されてもよいのではないか. そのために看護婦自身が意見を述べる機会と力を増大させなければならない 5)医療環境の多くの狭間業務を看護部門のみが背負っている現状がある. それを回避できるシステムや機器の開発が望まれる 6)看護業務の支援ロボットの開発はできないのか 看護は最新の医療機器や優秀なロボットでも代行できない業務を担っている. 真に必要とされる時に, 看護の手や技術や知識を補助してくれるシステムや医療機器の開発を夢見ている. 文献 1)荒井蝶子他監修;看護管理シリーズ5, 看護管理の実際, 日本看護協会, 1996 2)二木 立;「世界一」の医療費抑制政策は看護に何をもたらしているか, 看護学雑誌, 58, 12, 1994 3)平均在院日数その他;医療施設調査, 病院報告(厚生大臣官房統計情報部), 看護, 50, 5, 1998
ISSN:0385-440X