消毒洗浄器および機器殺菌法
医療機器による感染を防止するために, 洗浄・消毒・滅菌を有効に用いる必要がある. しかし全ての機器を滅菌することはできないし, 物によっては洗浄と消毒で十分な場合も多い. 最近は血液や体液で汚染された医療機器は, 全て感染性と考えて対応するuniversal precautionが一般的になりつつある. 従来, わが国では医療に使用した機器の汚染が起こると, 使用現場(病棟・外来・手術場など)で消毒あるいは洗浄を行う, いわゆる一次洗浄が原則的であった. すなわち最初の消毒あるいは洗浄は使用現場で行い, 最終の洗浄と滅菌を中央材料部(中材)で行うという二段構えの方式を採ってきた. しかし医療の...
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Veröffentlicht in: | 医科器械学 1996, Vol.66 (4), p.206-207 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 医療機器による感染を防止するために, 洗浄・消毒・滅菌を有効に用いる必要がある. しかし全ての機器を滅菌することはできないし, 物によっては洗浄と消毒で十分な場合も多い. 最近は血液や体液で汚染された医療機器は, 全て感染性と考えて対応するuniversal precautionが一般的になりつつある. 従来, わが国では医療に使用した機器の汚染が起こると, 使用現場(病棟・外来・手術場など)で消毒あるいは洗浄を行う, いわゆる一次洗浄が原則的であった. すなわち最初の消毒あるいは洗浄は使用現場で行い, 最終の洗浄と滅菌を中央材料部(中材)で行うという二段構えの方式を採ってきた. しかし医療の進歩と共に汚染機器の量は増加の一途を辿り, 現場の負担と危険は急増して一次洗浄のレベルは各部署で不同となり, 中材に集めて再度行う洗浄・消毒は二度手間であるという反省が生じた. そこで特殊な機器を除いて使用現場での洗浄・消毒を一切行わず, 密封が可能な容器もしくは袋に入れて汚染したまま中材に搬送し, そこで訓練を受けた専任のスタッフにより一括処理する方式が採用されるようになった. 中材では全てを感染性と考えて, 先ず十分な洗浄を行い, 次に熱湯あるいは薬液により消毒するという処理方法で対応する. そのための洗浄・消毒装置がwasher disinfector(消毒洗浄器)である. 消毒洗浄器の一般工程は, 予備洗浄, 酵素系洗剤による洗浄, 中和の工程後, 熱湯による消毒が行われ, 最後に熱風により乾燥させて終了する. この方法の利点は手で洗う必要がなく職業感染の危険性が低減され, 医療従事者の安全性と省力化が図れることである. また機器に対する消毒薬の影響や汚物の残留が少なく, 品質管理水準も向上するという利点もある. さらに経済的にも有利であると考えられている. しかし汚れの著しい場合, すぐに再利用する機器, 細く狭い内腔を有する内視鏡, 非耐熱性のもの等の処理には適用できないのが欠点である. 洗浄・消毒を終えた機器で引き続きハイリスクの医療(生体組織内, 血管内に入る)に再使用される物は, 更に包装あるいはコンテナーに収納して滅菌処理を行う必要がある. 耐熱性の機器であれば高圧蒸気滅菌が最も安全, 確実である. 非耐熱性の物に対しては酸化エチレンガス滅菌が適用されていたが, 近年, それに替わる低温滅菌法として, 過酸化水素ガスプラズマ滅菌が普及し始めている. 以上のような最近の状況について報告する予定である. |
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ISSN: | 0385-440X |