(31) カテーテルの材質と菌のバイオフィルム形成能の検討
〔目的〕カテーテル表面のバイオフィルム形成の初期段階は菌の付着と定着である. 以前, カテーテルの材質の中で, 素材表面の疎水性と菌の付着性とが関連することを, 本学会で報告したが(医器学63(1)19-26, 1993.), 今回, バイオフィルム形成との関係について検討した. 〔方法〕カテーテル素材のシリコン(SIL), ポリ塩化ビニル(PVC), エチレン酢酸ビニル重合体(EVA), ポリウレタン(PUR), ウロキナーゼ処理を施したもの(EVA-UKおよびPUR-UK), クロルヘキシジンを練り込んだもの(EVA-CHX)で幅1cm×1cm, 厚さ0.5mmの正方形フィルムシートを作製...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 医科器械学 1995/04/01, Vol.65(4), pp.200 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 〔目的〕カテーテル表面のバイオフィルム形成の初期段階は菌の付着と定着である. 以前, カテーテルの材質の中で, 素材表面の疎水性と菌の付着性とが関連することを, 本学会で報告したが(医器学63(1)19-26, 1993.), 今回, バイオフィルム形成との関係について検討した. 〔方法〕カテーテル素材のシリコン(SIL), ポリ塩化ビニル(PVC), エチレン酢酸ビニル重合体(EVA), ポリウレタン(PUR), ウロキナーゼ処理を施したもの(EVA-UKおよびPUR-UK), クロルヘキシジンを練り込んだもの(EVA-CHX)で幅1cm×1cm, 厚さ0.5mmの正方形フィルムシートを作製した. 接触角計(CAX型, 協和界面科学(株))を用いて, 接触角測定により, 表面自由エネルギーを解析し, 表面の疎水性のパラメーターとした. メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)および緑膿菌の各2株の10^8 /mlのPBSの菌浮遊液にフィルムシートを入れ, 37℃で10分振盪し, フィルムをPBSで洗浄後, BHIブロス中で37℃, 7日間静置培養した. 再びフィルムを洗浄後, 2%グルタールアルデヒドを含むカコジル酸ソーダ緩衝液, pH 7.2で固定し走査型電子顕微鏡(SEM)による観察に供した. 〔結果〕表面自由エネルギーの小さいPVCでMRSAおよび緑膿菌で顕著なバイオフィルム形成が観察された. EVAおよびPURはウロキナーゼ処理によりバイオフィルム形成能の低下を認め, 緑膿菌では鞭毛の延長が観察された. 〔考察〕菌の付着性は材料表面の表面自由エネルギーとも密接に関連し, それが菌の形態変化すなわちバイオフィルム形成能へ影響を及ぼす因子の一つであることが示唆された. |
---|---|
ISSN: | 0385-440X 1881-4875 |
DOI: | 10.4286/ikakikaigaku.65.4_200_1 |