TMP製IABの安全性及び機能性

日本人に多く見られる低身長の体格に適合すべく, 東京女子医科大学循環器外科の指導の元に開発された, 国産初の東海メディカル製IABPバルーンカテーテルは発売以来既に約4,700本が全国150余の施設で使用された. 安全性及び機能性で高い評価を得た本製品の特長について以下にまとめた. 〔方法・結果〕主な特長は以下の5点である. 1)小柄な体格に適合したサイズ設定. ACバイパス術後に起こった外国製の長いバルーンが原因と思われる, 腹部内臓壊死症例をきっかけに東京女子医科大学循環器外科にて得られた身長と大動脈弓部から腹腔動脈までの距離との相関からサイズを決定した. 2)蛇行の激しい血管にも挿入しやすいフレキシブルなカテーテル材質. 先端チップを長めに, かつソフトなポリウレタンにて仕上げ, 容易な挿入と同時に血管内壁の損傷防止にも有効. 0.035インチ径のガイドワイヤー使用可能. 3)特殊な製法と徹底した出荷検査により維持される優れた安全性. 最悪のトラブルであるパンピング中の破裂事故を皆無にすべく, 出荷全品に気密試験と5万回の駆動試験を実施し信頼性の確保に努めている. 臨床にて120日間を最長に60日以上の長期駆動実績も多く報告されている. しかし低率ながら約0.15%(7例)のピンホール事故も経験し今後の改良課題も残る. 4)豊富なサイズバリエーション. 患者の体格によりSS, S, MS, M, Lの5サイズを製造. 5)国内生産の強みを生かし改良要望への迅速な対応. 標準仕様に加え要望により特定の施設向けの特別仕様の設定も可能. 〔考察〕当社として過去約30項目にわたり改良を実施したが完成したわけではなく, 常にいくつかの課題をもって改良に取り組んでいる. 貴重なアドバイスを頂戴した, 基礎及び臨床の諸分野の先生方に感謝の意を表すると共に当社の技術が治療成績向上の一助となることを望んでいる.