(54) 運動負荷試験に於ける運動時酸素摂取量測定とボルグスケールを用いた定量的呼吸困難評価の検討
運動時酸素摂取量測定とボルグスケールとの相関関係に基づく労作時呼吸困難感の評価法の臨床的有用性を検討する. 〔方法〕慢性閉塞性肺疾患患者19名を対象として, 運動負荷試験を自覚的最大負荷まで行い, マススペクトロメトリー・ニューモタコメーター・コンピューターシステム(WLCU-5210, Westron社製)によって換気諸指標を測定した(酸素摂取量(V_O2 ), 炭酸ガス産生量(V_CO2 ), 分時換気量(V_E ), 呼吸数(f)). また, 運動負荷中, 各負荷量で, 0(呼吸困難なし)から10(最大の呼吸困難)にいたるボルグスケール(BS)によって呼吸困難感を患者自身に評価させた....
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Veröffentlicht in: | 医科器械学 1993/04/01, Vol.63(4), pp.203 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 運動時酸素摂取量測定とボルグスケールとの相関関係に基づく労作時呼吸困難感の評価法の臨床的有用性を検討する. 〔方法〕慢性閉塞性肺疾患患者19名を対象として, 運動負荷試験を自覚的最大負荷まで行い, マススペクトロメトリー・ニューモタコメーター・コンピューターシステム(WLCU-5210, Westron社製)によって換気諸指標を測定した(酸素摂取量(V_O2 ), 炭酸ガス産生量(V_CO2 ), 分時換気量(V_E ), 呼吸数(f)). また, 運動負荷中, 各負荷量で, 0(呼吸困難なし)から10(最大の呼吸困難)にいたるボルグスケール(BS)によって呼吸困難感を患者自身に評価させた. このV_O2 とBSとの直線回帰を行い, 良好な相関が得られた症例では, X切片をTLD, 回帰直線の傾きをBSS, 運動終了に至った自覚的最大酸素摂取量をBLDと定義し, 算出した. 19名のCOPD患者について, 抗コリン薬, プラセボの吸入を行なう前後で運動負荷試験を行い, 比較検討を行なった. 〔結果〕全例で, V_O2 とBSとの間にr=0.872以上の有意の一次相関が認められた. 抗コリン薬吸入後には, BSS(28.8±2.8→15.0±1.4(BS/リットル/min)), BLD(954±54→1054±104(ml/min))は有意の改善を示したが, TLDは不変(740±32→752±42(ml/min))であった. プラセボ吸入後には, 有意の変化を示さなかった. 〔考察〕ボルグスケールは, それ自身客観的な呼吸困難評価スケールとしての有用性が報告されているが, 本来, 感覚生理学に基づいて刺激量の増加に対応する感覚の変化をスケール化したものであり, 客観的に把握される刺激量で規準化する必要があると考えられる. 我々の考案した, 酸素摂取量で規準化する今回の評価法は, 再現性も良好で, COPD患者の労作時息切れの定量的評価に有用と考えられる. 今回, 抗コリン薬のCOPDに対する有効性を自覚症状の点から検討できた. 今後, リハビリテーションの効果判定や, 他の治療効果の評価判定に寄与すると考えられる. |
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ISSN: | 0385-440X 1881-4875 |
DOI: | 10.4286/ikakikaigaku.63.4_203_2 |