オフポンプ冠動脈バイパス術中に肺動脈空気塞栓症を来した一症例

「抄録」オフポンプ冠動脈バイパス術 (OPCAB) 中の肺動脈塞栓症は稀であるが, 右室流出路や伴走する静脈を損傷し, その修復中に肺動脈二酸化炭素塞栓症が発症した報告がある. 今回術野で明らかな組織損傷を認めなかったにも関わらずOPCAB中に肺動脈空気塞栓症が生じた症例を経験した. 左内胸動脈-左前下行枝 (LAD) の吻合終了後, 肺動脈圧が急上昇し血圧が低下した. 経食道心臓超音波検査 (TEE) で右心系に気泡像を認め肺動脈空気塞栓症と診断した. LAD遮断のためにかけた針が右室を穿孔し, 空気ブロワーの使用で空気が流入したと考えた. 組織損傷が明らかでない場合にも発症することがあるた...

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Veröffentlicht in:Cardiovascular Anesthesia 2020-08, Vol.24 (1), p.95-99
Hauptverfasser: 上田陽子, 森英明, 土井克史, 岸本朋宗, 齊藤洋司
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「抄録」オフポンプ冠動脈バイパス術 (OPCAB) 中の肺動脈塞栓症は稀であるが, 右室流出路や伴走する静脈を損傷し, その修復中に肺動脈二酸化炭素塞栓症が発症した報告がある. 今回術野で明らかな組織損傷を認めなかったにも関わらずOPCAB中に肺動脈空気塞栓症が生じた症例を経験した. 左内胸動脈-左前下行枝 (LAD) の吻合終了後, 肺動脈圧が急上昇し血圧が低下した. 経食道心臓超音波検査 (TEE) で右心系に気泡像を認め肺動脈空気塞栓症と診断した. LAD遮断のためにかけた針が右室を穿孔し, 空気ブロワーの使用で空気が流入したと考えた. 組織損傷が明らかでない場合にも発症することがあるためTEEを用い注意深く管理する必要がある.
ISSN:1342-9132