下肢の激痛により歩行困難をきたしたnonfreezing cold injury (塹壕足) の1例

「要旨」寒冷環境で約2週間過ごした後, 入浴により下肢を温めたことを契機に激痛を生じ歩行困難となった症例を経験した. 皮膚, 軟部組織には凍傷は認めなかった. 自発痛はなく誘発痛のみで, 両足先に軽く触れると激痛 (アロディニア) を生じた. 痛みを生じる部位の冷覚とピンプリック痛覚は脱失していた. 血管拡張薬や交感神経ブロックでは痛みに変化はなかった. nonfreezing cold injury (NFCI) と診断し, プレガバリン, アミトリプチリン, トラマドールの投与, 腰部持続硬膜外ブロックなどの治療を開始したが, 鈍的圧迫でも激痛が誘発されるため歩行困難が持続した. 内側足底...

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Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 2024-01, Vol.31 (1), p.14-18
Hauptverfasser: 海江田令次, 平井慎理, 廣田一紀, 宇野武司
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」寒冷環境で約2週間過ごした後, 入浴により下肢を温めたことを契機に激痛を生じ歩行困難となった症例を経験した. 皮膚, 軟部組織には凍傷は認めなかった. 自発痛はなく誘発痛のみで, 両足先に軽く触れると激痛 (アロディニア) を生じた. 痛みを生じる部位の冷覚とピンプリック痛覚は脱失していた. 血管拡張薬や交感神経ブロックでは痛みに変化はなかった. nonfreezing cold injury (NFCI) と診断し, プレガバリン, アミトリプチリン, トラマドールの投与, 腰部持続硬膜外ブロックなどの治療を開始したが, 鈍的圧迫でも激痛が誘発されるため歩行困難が持続した. 内側足底神経へのパルス高周波療法, リハビリテーションなどを追加し治療を入院から外来治療に移行し観察していたところ, 発症約2カ月後, 冷覚およびピンプリック痛覚は突然回復し, 痛みもなく歩行可能となった. 寒冷環境にさらされて生じたNFCIの症例を経験し, 2カ月の治療後完全寛解したので報告する.
ISSN:1340-4903