放射線治療により良好な鎮痛を得た悪性腸腰筋症候群の1例

悪性腸腰筋症候群は悪性腫瘍が腸腰筋に影響を及ぼすことで生じ,難治性の痛みの原因として知られる.われわれは,悪性腸腰筋症候群の痛みに対して良好な鎮痛を得たので,報告する.症例は31歳の女性.5カ月前から左腰痛が出現し,左大腿前面から左膝部にかけての異常感覚を伴うようになり,歩行困難となった.CTで子宮頸部の腫大と左腸腰筋の嚢胞性病変を認め,腸腰筋膿瘍を疑いドレナージ目的に穿刺したところ,内容液から扁平上皮がん細胞が検出された.子宮頸部の病理検査からも扁平上皮がんが検出され,子宮頸がんの腸腰筋転移による悪性腸腰筋症候群と診断した.フルルビプロフェンアキセチル注射液,フェンタニル,ステロイド,その他...

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Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 2014, Vol.21(2), pp.137-140
Hauptverfasser: 柏木, 秀行, 牧野, 毅彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:悪性腸腰筋症候群は悪性腫瘍が腸腰筋に影響を及ぼすことで生じ,難治性の痛みの原因として知られる.われわれは,悪性腸腰筋症候群の痛みに対して良好な鎮痛を得たので,報告する.症例は31歳の女性.5カ月前から左腰痛が出現し,左大腿前面から左膝部にかけての異常感覚を伴うようになり,歩行困難となった.CTで子宮頸部の腫大と左腸腰筋の嚢胞性病変を認め,腸腰筋膿瘍を疑いドレナージ目的に穿刺したところ,内容液から扁平上皮がん細胞が検出された.子宮頸部の病理検査からも扁平上皮がんが検出され,子宮頸がんの腸腰筋転移による悪性腸腰筋症候群と診断した.フルルビプロフェンアキセチル注射液,フェンタニル,ステロイド,その他鎮痛補助薬の投与を開始したが痛みは軽減しなかった.しかし難治性の痛みに対して,放射線治療を併用することで良好な痛み緩和を達成し,独歩可能となり退院となった.腸腰筋の嚢胞性病変は,腸腰筋膿瘍以外に悪性腫瘍の転移が重要な鑑別であり,悪性腸腰筋症候群の痛みに対しては,薬物療法に放射線照射を併用することで有効な鎮痛効果が期待できる可能性があることが示唆された.
ISSN:1340-4903
1884-1791
DOI:10.11321/jjspc.14-0002