2. 脱出型ヘルニアに対する椎間板内加圧注入療法後のGd-MRIについての考察

脱出型ヘルニアのうち硬膜外ブロックや神経根ブロックで長期効果が得られないものに対し当科では椎間板内加圧注入療法を積極的に行い, 約70%の患者でJOAスコア(日本整形外科学会腰痛疾患治療判定基準)改善率50%以上の治療成績を得ている. 本法の奏効機序として, (1)発痛物質洗浄, (2)ヘルニア離断・粉砕, (3)ヘルニア被膜穿破と硬膜外腔への交通などが考えられるが, 今回, 加圧注入1カ月後の4症例においてGd-MRIを施行し, 治療効果とヘルニアの形態変化・造影効果の有無との関連を検討した. その結果いずれにおいてもヘルニアが粉砕されたと考えられる所見はみられず, 治療後早期から著効を認め...

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Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 2008, Vol.15 (1), p.44-45
Hauptverfasser: 塚原悦子, 福井弥己郎, 岩下成人, 高木宏幸, 新田一仁, 飯田温美, 岩本貴志, 武内順子, 中西美保, 松本富吉, 野坂修一, 森山萬秀
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:脱出型ヘルニアのうち硬膜外ブロックや神経根ブロックで長期効果が得られないものに対し当科では椎間板内加圧注入療法を積極的に行い, 約70%の患者でJOAスコア(日本整形外科学会腰痛疾患治療判定基準)改善率50%以上の治療成績を得ている. 本法の奏効機序として, (1)発痛物質洗浄, (2)ヘルニア離断・粉砕, (3)ヘルニア被膜穿破と硬膜外腔への交通などが考えられるが, 今回, 加圧注入1カ月後の4症例においてGd-MRIを施行し, 治療効果とヘルニアの形態変化・造影効果の有無との関連を検討した. その結果いずれにおいてもヘルニアが粉砕されたと考えられる所見はみられず, 治療後早期から著効を認めた1症例においてはヘルニア径の明らかな縮小とヘルニア内部造影効果が認められたが, 無効例では縮小も内部造影効果もみられなかった. このことから加圧注入療法が奏効する主な機序はヘルニア離断・粉砕ではなく, 被膜の硬膜外腔への穿破, 血管新生, 貪食による自然治癒の促進であると推察された. また治療1カ月後のGd-MRI施行は, 有効性を客観的に評価し治療方針を再検討するうえで有用であると思われた. 若干の考察を加え報告する.
ISSN:1340-4903