5.パロキセチン増量によって発症したSIADHの1症例
71歳男性. 腰部脊柱管狭窄症, 腰椎椎間板ヘルニアの診断で, 2年前に手術を受けたが, 術後も腰下肢痛は改善しなかった. 頭痛, 全身倦怠感, 不眠, 抑うつ症状なども訴えており, 当院整形外科で10ヵ月前よりパロキセチン10mg/日の内服投与を開始, 以後20mg/日で維持されていた. 症状の改善が認められないため, 内服量を40mg/日に増量した4日後, 乏尿を訴え当院整形外科再診. 採血の結果124mmol/Lの低ナトリウム血症を起こしていることが判明した. SIADHの診断で, ただちに入院となり, 電解質管理のため麻酔科来診となった. パロキセチン投与を中止し, 水分制限, 生理食...
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Veröffentlicht in: | 日本ペインクリニック学会誌 2006, Vol.13 (4), p.450-450 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 71歳男性. 腰部脊柱管狭窄症, 腰椎椎間板ヘルニアの診断で, 2年前に手術を受けたが, 術後も腰下肢痛は改善しなかった. 頭痛, 全身倦怠感, 不眠, 抑うつ症状なども訴えており, 当院整形外科で10ヵ月前よりパロキセチン10mg/日の内服投与を開始, 以後20mg/日で維持されていた. 症状の改善が認められないため, 内服量を40mg/日に増量した4日後, 乏尿を訴え当院整形外科再診. 採血の結果124mmol/Lの低ナトリウム血症を起こしていることが判明した. SIADHの診断で, ただちに入院となり, 電解質管理のため麻酔科来診となった. パロキセチン投与を中止し, 水分制限, 生理食塩水の点滴, フロセミド投与を行ったところ, 翌日には尿量は回復. 血清ナトリウム値も入院5日目には正常化した. 近年わが国でもパロキセチンの慢性疼痛への有用性が報告されるようになった. 本剤は従来の抗うつ薬と比較して副作用が少ないため, 今後ペインクリニック領域での適応が拡大すると予想される. しかし高齢者では重症のSIADH, 低ナトリウム血症を引き起こす危険性が報告されており, 投与開始後, 増量後は血清電解質のチェックが必要である. |
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ISSN: | 1340-4903 |