5.フェンタニル貼付剤使用患者の術後疼痛管理について
術前よりオピオイド薬が投与されている患者の術後疼痛管理に関しては, 一定の見解が得られていない. 今回, 術前よりフェンタニル貼付剤(デュロテップ(R)パッチ)を使用していた癌患者の術後疼痛管理を経験した. 症例:69歳男性, 体重58kgで, 膀胱癌の診断にて膀胱全摘術および尿管皮膚瘻造設術が予定された. 術前より前立腺痛様の下腹部の痛みと下肢痛を訴えていたため, 約1ヵ月間にわたり, デュロテップ(R)パッチ5mg/3日の投与とレスキュー薬としてオプソ(R)10~20mg/日の投与を受けていた. 虚血性心疾患の既往があり抗凝固療法を受けていたため, 疼痛管理目的の硬膜外カテーテルは挿入せず...
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Veröffentlicht in: | 日本ペインクリニック学会誌 2006, Vol.13 (4), p.447-447 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 術前よりオピオイド薬が投与されている患者の術後疼痛管理に関しては, 一定の見解が得られていない. 今回, 術前よりフェンタニル貼付剤(デュロテップ(R)パッチ)を使用していた癌患者の術後疼痛管理を経験した. 症例:69歳男性, 体重58kgで, 膀胱癌の診断にて膀胱全摘術および尿管皮膚瘻造設術が予定された. 術前より前立腺痛様の下腹部の痛みと下肢痛を訴えていたため, 約1ヵ月間にわたり, デュロテップ(R)パッチ5mg/3日の投与とレスキュー薬としてオプソ(R)10~20mg/日の投与を受けていた. 虚血性心疾患の既往があり抗凝固療法を受けていたため, 疼痛管理目的の硬膜外カテーテルは挿入せず, 手術は全身麻酔単独による麻酔が計画された. 麻酔の導入はプロポフォール100mgとフェンタニル0.2mgで行い, セボフレン(R)1~2%の吸入とフェンタニルの適時投与(0.6mg/5時間)により行われた. そして, 入室時よりデュロテップ(R)パッチを10mg/3日に増量することによって術後疼痛管理を行った. 覚醒時に疼痛を訴えたため, フェンタニル0.1mgを緩徐静注した. その後, 疼痛が軽減し帰室となった. 術後3日間はデュロテップ(R)パッチ10mg/3日, その後の3日間は7.5mg/3日, 以降は5mg/3日で疼痛の管理が行われた. この間, 術前より認めた疼痛の突発痛は認められず, 創部の突発痛はフルルビプロフェンの静注により対処した. 結論:フェンタニル貼付剤使用中の癌患者の術後疼痛管理を経験したが, フェンタニルの投与量を手術開始前より増量し, 術後疼痛の強度に合わせて投与量を減らすことにより, 癌性疼痛, 術後疼痛の両方に対して良好な疼痛管理が行えた. |
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ISSN: | 1340-4903 |