神経ブロック後非穿刺側に腸腰筋膿瘍を呈した1例

われわれは上下腹神経叢ブロック後に, ブロックと対側の腸腰筋膿瘍が生じた症例を経験したので報告する. 症例は, 70歳男性で, 直腸癌再発による難治性の下腹部から会陰, 肛門部の疼痛に対し, 上下腹神経叢ブロックを行った. ブロック3日後より発熱があり, 白血球, CRPが上昇し, 14日後左の腰背部痛が出現した. CT, MRIで左の腸腰筋膿瘍が強く疑われた. 外科的療法は施行せず保存的療法を行った. ブロックより40日後に左腰背部痛は消失し, 白血球, CRPも正常範囲となり下腹部から会陰, 肛門部の疼痛もほとんど消失し, 52日後に独歩退院となった. 腸腰筋膿瘍は比較的まれな疾患である....

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Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 2005-01, Vol.12 (1), p.17-20
Hauptverfasser: 相良武士, 内野博之, 高橋俊明, 武藤孝夫, 曽我部豊, 平林剛, 白石としえ, 金子英人, 山田昌彦, 植田健治, 石井脩夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:われわれは上下腹神経叢ブロック後に, ブロックと対側の腸腰筋膿瘍が生じた症例を経験したので報告する. 症例は, 70歳男性で, 直腸癌再発による難治性の下腹部から会陰, 肛門部の疼痛に対し, 上下腹神経叢ブロックを行った. ブロック3日後より発熱があり, 白血球, CRPが上昇し, 14日後左の腰背部痛が出現した. CT, MRIで左の腸腰筋膿瘍が強く疑われた. 外科的療法は施行せず保存的療法を行った. ブロックより40日後に左腰背部痛は消失し, 白血球, CRPも正常範囲となり下腹部から会陰, 肛門部の疼痛もほとんど消失し, 52日後に独歩退院となった. 腸腰筋膿瘍は比較的まれな疾患である. われわれは上下腹神経叢ブロック後にブロックと対側の腸腰筋膿瘍が発現した症例を経験したので報告する. 患者は70歳男性で, 下腹部から会陰部, 肛門部の痛みを訴えて来院した. 既往歴:特記すべきことなし. 現病歴:2年2ヵ月前, 直腸癌で当院において人工肛門造設術が施行された. その2ヵ月後, 直腸癌の膀胱, 尿管浸潤のために右腎瘻を造設された. この頃より, 左腎はすでに多発性嚢胞腎による水腎症および尿路感染が疑われていた.
ISSN:1340-4903
DOI:10.11321/jjspc1994.12.17