2―002 非定型顔面痛との鑑別診断が困難であった下顎骨悪性腫瘍の一例

日常診療において, 疼痛の原因として悪性腫瘍を発見することがある. 我々は, 非定型顔面痛との鑑別診断が困難であった下顎骨悪性腫瘍の一症例を経験したので報告する. 【症例】89歳, 男性. 【現病歴】誘因なく1ヶ月前より出現した, 右下顎部の持続的な疼痛を主訴に当科受診. 食事, 会話での疼痛の誘発は認めず, 疼痛は夜間に悪化し, 睡眠障害を認めた. 初診時, 同部に5/10程度の感覚低下を認めた. 既往歴に顎下腺腫瘍があり, 定期的に耳鼻科にて経過観察されており, 下顎骨のCTやMRIで精査するも原因不明であった. 非定型顔面痛の診断で, 星状神経節ブロックおよび薬物療法を施行し, 一時的に...

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Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 2004, Vol.11 (3), p.311-311
Hauptverfasser: 佐伯美奈子, 安部洋一郎, 上島賢哉, 山田芳嗣
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:日常診療において, 疼痛の原因として悪性腫瘍を発見することがある. 我々は, 非定型顔面痛との鑑別診断が困難であった下顎骨悪性腫瘍の一症例を経験したので報告する. 【症例】89歳, 男性. 【現病歴】誘因なく1ヶ月前より出現した, 右下顎部の持続的な疼痛を主訴に当科受診. 食事, 会話での疼痛の誘発は認めず, 疼痛は夜間に悪化し, 睡眠障害を認めた. 初診時, 同部に5/10程度の感覚低下を認めた. 既往歴に顎下腺腫瘍があり, 定期的に耳鼻科にて経過観察されており, 下顎骨のCTやMRIで精査するも原因不明であった. 非定型顔面痛の診断で, 星状神経節ブロックおよび薬物療法を施行し, 一時的に睡眠障害は改善したが, 疼痛の改善を認めなかった. 経過中疼痛が左右移動し, 他覚的所見も一定しないため, 器質的要因に加え心理的要因も検討した. 初診時より 9ヶ月後, 腫脹が出現した歯肉の生検にて悪性細胞を認め, 骨シンチグラフィーにて下顎全体に高度の集積を認めた. 【考察および結論】1)夜間持続痛, 神経ブロック抵抗性を認める場合, 悪性疾患を考慮しなくてはならない. 2)経時的変化に注意し, 診断を再検討する必要がある. 3)非定型顔面痛の診断は慎重でなければならない.
ISSN:1340-4903